コロナ禍が3年目に突入し、多くの業界や企業のビジネスをいまだに揺さぶり続けている。その対応力の差によって企業の業績は、勝ち組と負け組の格差が拡大している。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は三菱地所、三井不動産などの「不動産」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
三井不動産、野村不動産HDが
前年同期比で約3割の減収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の不動産業界5社。対象期間は21年10~12月期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・三菱地所
増収率:29.9%(四半期の営業収益3255億円)
・三井不動産
増収率:マイナス29.9%(四半期の売上高4700億円)
・住友不動産
増収率:21.9%(四半期の売上高2324億円)
・野村不動産ホールディングス
増収率:マイナス30.5%(四半期の売上高1039億円)
・東急不動産ホールディングス
増収率:6.5%(四半期の売上高2224億円)
※5社とも収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。
不動産業界の主要5社では、三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングスが前年同期比で増収、三井不動産、野村不動産ホールディングスが減収となった。三井不動産、野村不動産ホールディングスは共に約3割の減収に陥っている。この要因は何だったのか。
次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、2社の減収要因について解説する。