金融機関や自治体からの書類、郵便物、クーポン、子どもが持ち帰るプリント類……。「紙」は毎日、怒涛のように家に入ってきます。いったい、取っておくべき紙はどれなのか? そして、それをどう整理すればよいのか?「とりあえず取っておく」と、「肝心な時に出てこない」「いつの間にか期限が切れていた」「大事な書類を失くして、お金や信頼を失くす」などの悲劇が起こります。紙には、財産や信用に直結するものもあります。人生により大きな影響を与えるのは、実は「モノ」よりも「紙」の片づけです。「もっと早く知りたかった!」と発売前から大反響の、片づけアドバイザー・石阪京子先生の最新刊「人生が変わる 紙片づけ!」から抜粋して、ご紹介します。

紙や書類を失くして大失敗する人の特徴Photo: Adobe Stock

よくある「払い込み期限」を忘れるミス

 ある生徒さんの話です。その方は嵐の大ファンで、娘さんも大ファン。なんと、活動休止前の貴重なコンサートのチケットが2人分当たりました。

 でも、開催地が北海道だったので、交通費がかかるし、いったん保留にしていたらしいんです。もし、近場が当たれば、北海道はキャンセルしようと。

 近場が当たらなかった場合は、すぐに北海道のチケット代を振込まないといけません。

 そこで彼女は、忘れないように冷蔵庫に振込用紙を貼りました。

 だけど、冷蔵庫にはすでに色々貼られています。生協の紙やレシピ、クーポンなど。

 本書でもお伝えしたように、冷蔵庫は「大事な紙の、とりあえず置き場」になっていることが多いのです。いつの間にかごちゃごちゃしていき、小さい振込用紙は紛れて、どんどん埋もれていきます。

 その結果、どうなったか。

 振込を忘れて、嵐のコンサートには行けませんでした。

 娘さんは大激怒し、ご本人はすっかり自信を喪失してしまいました。彼女はよかれと思ってやっていたんですよ。冷蔵庫に生協の紙やレシピを貼っているのは、お得でおいしいものを家族に食べさせるためですし、クーポンだって家計のためです。それなのに、結果的には、一生娘さんから責められるような失敗をしてしまった。

 こういうミスは実は多いんです。

 紙が山積みになっているせいで管理ができず、入学金の払込み期限を忘れたり、運転免許の更新のハガキをなくして期限を忘れ免許が失効してしまったり、同じような保険に加入し家計を圧迫したり……。

 こうなる原因は、すべて「とりあえず取っておく」にあるのです。

紙片づけが苦手な人は、勉強熱心で真面目な人

 実は、「とりあえず取っておこう」と考える方は、勉強熱心で真面目な方が多いんです。色々なお稽古ごとや、地域活動に参加していたり。活動のフィールドが多いので、その分、あらゆる方面から紙が集まってきます。

 でも、真面目なので、それらの紙を捨てられません。

「誰かに伝えるために残しておかないといけないんじゃないか」。そう考えるからこそ、「とりあえず取っておこう」「念のため残しておこう」となって、どんどん紙が増えていきます。

 家にスペースがあって、それらを家族の誰もが管理できているなら何の問題もありません。けれども、全ての紙を保管する事は不可能です。紙類のせいでご自分の暮らしがままならなくなっては大変です。

 不要な紙があふれているせいで、一番大事なお金や契約に関連する書類が埋もれてしまって、せっかく築いた財産や信頼が損なわれる……。

 これが一番こわいのです。

 リスクを回避するために紙を取っておいたはずが、実は逆効果になってしまった方を、これまでたくさん見てきました。「捨てて致命的」にならないように取っておいても、管理ができず、それを見つけられないのであれば、結局「致命的」なのです。

「紙片づけ」で大切なのは、「どう収納するか」ではなく「何を残すか」。「どうやって収納しよう」と考えるのではなく、「この紙は、本当に要るのかな?」そう考える癖を、この本を通じて身につけていただければと思います。