金融機関や自治体からの書類、郵便物、クーポン、子どもが持ち帰るプリント類……。「紙」は毎日、怒涛のように家に入ってきます。いったい、どれを捨ててよくて、どれを取っておかないといけないのか。そして、それをどう整理すればよいのか? 明確な基準がないので「とりあえず取っておく」と、「肝心な時に出てこない」「いつの間にか期限が切れていた」「大事な書類を失くして、お金や信頼を失くす」などの悲劇が起こります。紙には、財産や信用に直結するものもあります。「モノ」の片づけ方について書いた本はたくさんありますが、人生により大きな影響を与えるのは、実は「モノ」よりも「紙」の片づけです。紙の片づけ方が分かると、時間も増えるし、お金も貯まって人生が変わります。「もっと早く知りたかった!」と発売前から大反響の、片づけアドバイザー・石阪京子先生の最新刊「人生が変わる 紙片づけ!」から抜粋して、ご紹介します。
「正体不明の存在」に囲まれている不安感
紙類が多い家は圧迫感が出るし、ほこりが溜まりやすくなります。そのせいで、家にいてもリラックスできず、「いつも疲れている」とおっしゃる方が多いです。
紙があふれた部屋で過ごすのは、まるで満員電車に乗っているような状態だと思ってください。満員電車には、人がいっぱいいるから疲れます。自分の周りにいる人が、どんな人かもわからない「正体不明」の存在だから、ちょっとした警戒心や緊張感もあります。
これは、実は、紙も同じなのです。
紙がいっぱいあるということは、色々な情報に囲まれているということ。これが、きれいに整頓された図書館であれば、気持ちは落ち着くでしょう。
でも、何が書いてあるのかわからない、つまり「正体不明」で、もしかしたら重要な紙が、ぐちゃぐちゃに積み重ねられて、ほこりも溜まっていたりすると、ものすごく疲れると思います。息がつまって、ぐったりする感じです。
大事だけど向き合いたくない
この「正体不明」というのは、紙の大きな特徴です。
モノならパッと見ただけで、布団とか洋服とか、わかります。要不要の判断も使っているかどうかでしやすいです。
一方、紙は読んでみないと正体がわかりません。
片づけレッスンに伺っても、みなさん、「書類は見たくない」と、おっしゃいます。大事に取ってあるにもかかわらず、ちゃんと読むのが億劫なのです。
こんな風に、本当は、一番向き合いたくないもののそばにいるのは、とても疲れるはず。少なくとも、ここでゆっくりお茶をしようという気持ちにはならないのではないでしょうか。
紙が片づいていないと、心はもちろん、肉体にも大きなストレスがかかってしまうのです。