金融機関や自治体からの書類、郵便物、クーポン、子どもが持ち帰るプリント類……。「紙」は毎日、怒涛のように家に入ってきます。いったい、どれを捨ててよくて、どれを取っておかないといけないのか。そして、それをどう整理すればよいのか? 明確な基準がないので「とりあえず取っておく」と、「肝心な時に出てこない」「いつの間にか期限が切れていた」「大事な書類を失くして、お金や信頼を失くす」などの悲劇が起こります。紙には、財産や信用に直結するものもあります。「モノ」の片づけ方について書いた本はたくさんありますが、人生により大きな影響を与えるのは、実は「モノ」よりも「紙」の片づけです。紙の片づけ方が分かると、時間も増えるし、お金も貯まって人生が変わります。「もっと早く知りたかった!」と発売前から大反響の、片づけアドバイザー・石阪京子先生の最新刊「人生が変わる 紙片づけ!」から抜粋して、ご紹介します。

モヤモヤ、イライラの原因は、家にあふれる「紙」だった

 ポストには、毎日たくさんの紙が届きます。スーパーのチラシ、通販のカタログ、中身がよくわからない封書など。

 パッと見ると、「お得!」「今だけセール」「重要」などの文字が並んでいます。

 後でちゃんと見ようと思って、とりあえずそこらへんにポンと置きがちですね。

 でもじっくり見る時間は、なかなか取れないのではないでしょうか。晩ごはんを作って、お風呂の準備をして、後片づけをして、子どもを寝かしたり、仕事をしたり。やることは多々あるからです。

 けれど、頭のどこかでは引っかかっています。今日入ってきた紙のことが。

今だけセールって、いつまでかな」「重要って、なんの話だろう」

 勝手にやってきたくせに、「早く処理しないと損しますよ! 大変なことになりますよ!」と気持ちを追い立ててきます。

 もしも、これがモノなら、クローゼットがパンパンだから、しばらく洋服を買うのはやめておこうなど、自分で流入をコントロールすることがまだ可能です。

 でも、紙は一方的。こちらの都合などおかまいなし。

 別に欲しい情報でもないのに、頼んでもいないのに、勝手にやってくる。そのうえ堂々と「重要」と言い張って、処理を迫ってきます。

 こういう紙ならではの特性に、自分でも気づいていないけど、イライラしている人は多いのです。

情報が渦巻いて、頭の中が休まらない

 さらに、紙が連日勝手にやってくるせいで、頭の中もいっぱいになります。

 いざ届いた紙を確認してみると、振込用紙があったり、提出物があったり、限定クーポンがあったり、大事な控除の紙があったり、実に様々です。

「明日振込をして、ついでにあの店に寄ってクーポンも使っちゃおう。提出物の締切は週末までだから、まだいいか。でも忘れないようにどこかに貼っておいたほうがいいかな。控除の紙は絶対になくしちゃいけないから、引き出しにしまっておこう」

 情報が渦巻いて「あれもしないと、これもしないと」と、頭の中が忙しくなります。

 これも実は、紙ならではの特性です。

 モノであれば、洋服はクローゼット、食材は冷蔵庫などのように、行き場所が大体決まっていますよね。だから、買ってきたモノをそこへ分類さえすれば、部屋にモノが散乱することはありません。

 一方、紙の場合は、行き場所がはっきり決まっていないことが多いです。ちょっとした紙から大事な紙まで重要度は様々ですし、サイズや厚みも色々あります。

 そのため、重要度で分ければいいのか、サイズで分ければいいのか、あるいは子どものもの、自分のものなどの人別で分ければいいのか、分類の判断基準に迷われる方が多いようです。しかも、その中には提出物などの期限がある紙もあるので、それはそれで目立たせておかないといけません。

 このように、紙は情報もサイズも雑多すぎて、うまく分類できないという方が非常にたくさんいます。

 物理的に分類できないと、頭の中でもカテゴライズされません。情報をドバッと押し込んでいるような状態です。脳を部屋に例えると、分類されない、行き場のないモノがずっと居座って、それがどんどん増えていくイメージ。

 だから、頭の中が常にザワザワして、忙しくなってしまうのです。