ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
東ティモールってどんな国?
東ティモールは、インドネシアの東部、小スンダ諸島に位置するティモール島東半分とインドネシア領西ティモール内の飛び地のオエクシ県から成る岩手県ほどの小国です。
主要産業は米、イモ類などの農業で、なかでも輸出作物としてコーヒーが大きな割合を占めます。2004年から天然ガス・石油開発が本格化し国家財政を支えています。
東ティモール独立までの長い歴史
東ティモールは、21世紀に入って最初に独立した若い国家です。
1701年、ポルトガルが全島を占領した後、オランダが西ティモールを領有しました。
1859年のリスボン条約でオランダとポルトガルで東西ティモールを分割統治し、1942年の日本軍の全島占領を経て、第二次世界大戦後はポルトガルによる東ティモール支配が回復しました。
一方、西ティモールはインドネシアの一部として独立を果たしました。
ポルトガルは1974年に東ティモールの主権を放棄しましたが、東ティモールの独立派と反独立派の対立が激化。インドネシア軍が独立派を制圧して1976年に27番目の州として併合を宣言しました。しかし独立運動は続き、対立は激化していきました。
1999年に住民投票が実施され、約80%の住民が分離独立を選択しました。これを受けて国連は、東ティモール暫定行政機構を設立し、2002年にようやく独立を果たしました。
東ティモール民主共和国
面積:1.5万㎢ 首都:ディリ
人口:141.4万 通貨:米ドル
言語:テトゥン語(公用語)
宗教:カトリック97.6%
隣接:インドネシア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)