周囲を巻き込むキャッシュレス決済の起爆剤

 日本ではApple Card自体が提供されていないため、Tap to Payサービスが始まったとしても、既存のNFC対応クレジットカードや交通系カードのユーザー、あるいはApple Payを設定済みのユーザーが対象となりそうだ。あるいは、米国でのローンチ後、ある程度浸透したところで、日本ではApple CardとTap to Payを同時にスタートさせ、一気に両者の普及をもくろむような離れ業を考えてくる可能性もある。

 アップルはTap to Payを利用する決済サービスから手数料を徴収すると思われるので、その数字によっては対応を見合わせるサービスも出てくるだろう。しかし、American Express、Discover、Mastercard、Visaといった大手クレジットカードが対応予定で、決済サービスのStripeが対応第1号アプリとなることが決まっている。これらが、利便性の高さなどからシェアを伸ばすようなことがあれば、手数料のデメリットよりも決済額増のメリットが上回り、様子見だったところも対応を表明する可能性が高い。

 すでに多くのユーザーがいるiPhoneを受け皿とすることで、店舗は導入コストをかけることなく、場所を選ばずに利用できるTap to Pay。いったんサービスが始まれば、国を問わず、特に個人商店や屋外でのイベントやフリーマーケットなどでの決済を中心に普及していくものと思われ、キャッシュレス決済の裾野を広げる役割を果たすだろう。