放送局でアナウンサーをしていた頃から、会社を設立した現在まで、たくさんの社長とお話しする機会がありました。年商数千億円規模の大企業の社長もいれば、社員数人のベンチャー企業の社長もいたりと、職種もバックグラウンドもさまざまです。

 すると、そのうちに「この会社はこれから伸びるだろうな」、「この会社はちょっと勢いが足りないかも……」と、社長の話を聞いているだけで、伸びる会社とそうでない会社が、はっきりとわかるようになりました。不思議なことに、その予想は大抵当たるのです。

 なぜわかるのかと考えてみたところ、一流の社長とそうでない社長には、「話し方」に決定的な違いがあったのです。

社長の話し方が変わると、社員のやる気が変わってくる

 一流の社長と、そうでない社長の決定的な違いはなにか。

 それは“声の明るさ”と”声の使い分け”です。

「たったそれだけ?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、話し方は、その人の人間性や価値観、生活習慣を浮き彫りにします。たとえば、明るい声の人には、社交的、元気、健康そう、幸せそう……など、ポジティブな印象を抱きますよね。

 一方で、声が暗い人はどうでしょうか。楽しくなさそう、落ち込んでいそう、体調が悪そう……ネガティブな印象を強く感じるはずです。同じように、早口、スローテンポ、高い声、低い声など、声のトーンや話し方を比べてみると、相手に与える印象は、随分異なります。

 事実、ダメな話し方によって人が離れていき、会社が傾いたという社長も見てきました。社長の話し方は、社員のモチベーションに深く関わっているのです。

 また声の明るさだけではありません。もちろん、楽しそうな話し方をする社長だと社員も元気になれますが、ときには緊張感も必要です。大事なのは「声の使い分け」ができること。