第3回では、財政再建に成功した国の予算制度改革を紹介したが、成功国の予算制度と日本のそれを比べると、日本の問題点が明らかになってくる。日本の予算制度の根本的な問題は、透明性が低いことと意思決定が「断片化」していることである。今回は日本の予算制度の問題を分析する。問題点を明らかにすることが、問題解決に不可欠であるからだ。

透明性と赤字・債務

 日本の国レベルの財政の透明性が、経済協力開発機構(OECD)のなかでも相当低いことは、日本にいるとわからないが、世界の研究者の間では周知のことである。

 透明性とは、財政政策を評価するための情報が国民に理解できるように公開されているか、政府が説明責任を果たしているかを意味する。日本と諸外国の透明性の程度を比較したのが表1である。これは、筆者が透明性に関して特に重要な20の基準を、OECD主要国が満たしているかどうかを評価したものである。満たしている場合は「○」で1点、満たしていない場合は「×」で0点、その間は「△」で0.5点、満点は20点である。こうした透明性の基準は、他の研究でも使われており、厳密には恣意性を排除できないものの、総じて妥当と考えられる。