左利きは「我の強さ」を
いいものとして見つめよう

加藤:そしてその能力は、今後より洗練されてくると思います。実際、年々自分らしさをトガらせたい、という気持ちが強くなってないですか?

須田:そうなんです。といいますか、だんだん自分らしさが濃くなりすぎていて、良くないなあと思っていて。考え方とかも極端になってきているから、母からは「年々神経質になっているよ」なんて言われたりしているんですけど。この先、我が強くなり過ぎて人に迷惑をかけたら困るなと思って、もうちょっとマイルドに考えなきゃ、と思っているところなんです。

加藤:それはあまりオススメしないですね。あまり自分を抑えようとするとかえって辛くなるというか、脳が働かなくなると思います。

須田:えっ、そうなんですか!? それは困ります!

加藤:左利きの人というのは、無理して右脳を使おうとすると脳の抑制が起こる、という特徴があるんですよ。自分らしさを抑えようとするということは、右脳の「まわりに合わせる」という部分を無理に働かせることになりますから、右脳全体の働きが悪くなって、須田さんが持つ他の才能も弱めてしまう恐れがあります。だからむしろ、もっと自分らしさを見つめたほうがいい。

 今はまだ他の人とかぶっているところがあるかもしれないから、「かぶらないところはどこだろう?」と探すことのほうをオススメします。そのほうが、須田さんの脳は伸び伸び働くようになると思いますよ。

須田:十分、自由に生きているとは思うんですけど(笑)。

「自分らしさ」を追求すると
脳が活性化する!

加藤:年々自分らしさが強くなってきているのも、自由に生きていることで脳が働きやすくなっているからだと思います。僕自身も、右利きの世界観から抜け出して自分らしさを追求し始めたら、仕事でも圧倒的に結果を残せるようになりました。何より、そうやって自分自身を発見するのって楽しいと思うんですよね。

須田:たしかに、「もうちょっとまわりを気にせずズバッと意見を言ってもいいんじゃない?」ということは、最近たまに言われますね。コメンテーターのお仕事をさせてもらうと、いろいろと考えてしまうんですよ。自分のコメントで誰かのことを傷つけたくないし、自分の意見が正しいわけでもない。だから私のコメントはあくまで一意見です、という気持ちで発言するので、ちょっと柔らかい言葉で言うところはあるんですね。それを「もうちょっと言い切れば?」と言われたりします。

加藤:僕は30代の頃から自分が思っていることをできるだけ言語化する、という訓練を続けているんですけど、そうしたら自分のことがもっともっと分かってきて。自分らしさと自分が求めたいものがだんだん一致してくる、という感じですね。須田さんは、おそらくまだ自分自身のことが上手く言語化できていないような気がします。

須田:はい、自分のことを何も知らないです。「私ってこうだよね」ともあまり思いたくないですし。極端な話、昨日の自分と今日の自分は違う人だ、ぐらいに思っていて。「こうなりたい」もないですし、とにかく何も決めつけずラクに生きよう、ということを自分の中でテーマにしている感じですね。

加藤:左利きの人は言語化が苦手になることがあるんですよ。僕なんかは今でも、印象の海から言葉を探して話している、みたいな感覚が絶えずあるんですけど……。でも須田さんは、お話している限りでは、あまり言葉がついてこない、という印象は受けません。家族との会話はどんな感じなんですか?

須田:私が家族の中で一番よく喋るんですけど、子どもの頃から会話にオチを求められたことはなくて。だから面白い話をするわけでもなく、ただあった出来事や思ったことをズラズラ喋っていました。

加藤:それが良かったのかもしれないですね。左利きの人は、言葉を発するまでの右脳で感覚的に物事を捉えて理解するプロセスが得意な一方で、左脳で言語化することが不得意な傾向があります。しかし、須田さんが、家族の中で一番おしゃべりすることで、左利きの不得意を自然に克服していて、むしろ、得意になったのだと思います。

(本記事は2023年5月12日までの期間限定公開です)

“神7”の共通点は「右脳」のすごさだった?自分らしさを生かす脳の使い方須田亜香里(すだ・あかり)[SKE48]
誕生日:1991年10月31日、血液型:A型、出身地:愛知県
2009年11月にSKE48第3期生としてメンバーに加入。現在はSKE48チームEリーダーを務める。2016年・2017年の選抜総選挙では2年連続「神セブン」に選ばれ、今年2018年には遂に2位の座を獲得。握手会での神対応が話題で「握手会の女王」とも呼ばれている。また、持ち前のトーク力でバラエティやワイドショーに出演。その他にもラジオや新聞連載等、SKE48の中心メンバーとして多方面で活躍中。
ソロライブ開催決定 “あかり”も“のぞみ”も30周年! 須田亜香里ソロライブ名古屋公演 supported by JR東海
●開催日時 5月20日(金)
●場所 名古屋マリオットアソシアホテル タワーズボールルーム
“神7”の共通点は「右脳」のすごさだった?自分らしさを生かす脳の使い方『1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き』[著者]加藤俊徳(かとう・としのり)
左利きの脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。
株式会社脳の学校代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニングの提唱者。
14歳のときに「脳を鍛える方法」を求めて医学部への進学を決意。1991年、現在、世界700ヵ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD(注意欠陥多動性障害)、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。帰国後は、独自開発した加藤式MRI脳画像診断法を用いて、子どもから超高齢者まで1万人以上を診断、治療を行う。「脳番地」「脳習慣」「脳貯金」など多数の造語を生み出す。InterFM 897「脳活性ラジオ Dr.加藤 脳の学校」のパーソナリティーを務め、著書には、『脳の強化書』(あさ出版)、『部屋も頭もスッキリする!片づけ脳』(自由国民社)、『脳とココロのしくみ入門』(朝日新聞出版)、『ADHDコンプレックスのための“脳番地トレーニング”』(大和出版)、『大人の発達障害』(白秋社)など多数。
・加藤プラチナクリニック公式サイト https://www.nobanchi.com
・脳の学校公式サイト https://www.nonogakko.com