10人に1人という左利き。自身も左利きで、『1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き』著者の加藤俊徳医師によると、左利きには「ひらめき」や「独創性」など、右利きにない様々な才能があるそうです。実際、左利きとして知られる有名人の中には、他にはない天才性を見せている人も多くいます。
そこで、加藤先生が各界で活躍する「すごい左利き」の才能を深掘りする新企画【すごい左利きファイル】をスタート。第二回に登場するのは、アイドルグループ・SKE48のメンバーとして人気の須田亜香里さんです。
全3回でお届けする須田さんへのインタビュー。本記事では須田さんの秘めたる才能、そしてそれを覚醒させる方法をお届けします。(構成:山本奈緒子)
須田亜香里の武器は
左利きゆえの「視野の広さ」
加藤俊徳先生(以下、加藤):今日、須田さんがこちらの対談ルームに入って来られたとき一番に思ったのが、パッと全体を見て状況を気にされているな、ということでした。以前から、そういう傾向はあるんですか?
須田亜香里(以下、須田):人がどんな表情をしているかとか、どう思っているのかなとか、すごい見てしまうところはあるかもしれないですね。だから電話が苦手なんです。顔が見えないので。
加藤:たまたま先日テレビをつけていたら、バラエティ番組に須田さんが出られていたんですよ。「今度お会いする方だ」と思ってよく見ていたら、須田さんは一人、他の人と全然違うことを言いますよね。すごくアイディアが豊かなんだと思いまして。
須田:えっ、本当ですか!? 嬉しいです。たしかに人が言っていないことを言おう、同じ事柄でも違う切り口で言おう、そうしたら違う聞こえ方や見え方をするから、ということはいつも頭の中でイメージしているかもしれないです。
加藤:だとしても、毎回見事なくらいバランスよく人と違うことを話しますよね。すごいなあと思って見ていたんですけど、きっと視野が広いんでしょうね。左利きの人は視野が広くなる傾向があるんですよ。
須田:左利きだと使っている脳の部分が違うんですか?
加藤:脳には右脳と左脳があるんですが、右手を使うときは左脳の、左手を動かすときは右脳の「手の脳番地」を使うんです。「手の脳番地」というのは、手の運動を司っている脳のエリアのことなんですが、手と脳番地をつなぐ脳の導線はクロスしているんですよ。
AKB48“神7”の共通点は
「右脳」のすごさだった
須田:そうなんですね。グループ活動をしているので、そこで培われたものかと思っていましたが、左利きだから右脳が鍛えられたとは驚きです。
加藤:そういえば10年ぐらい前に、AKB48の神7のメンバーたちの脳を見たことがあるんです。秋元康さんの企画で「脳選挙」というのがありまして(笑)。すると皆さん、共通して右脳が発達していたんですよ。
どうしてかな? と思ったんですけど、僕の予想では、おそらくアイドルグループの方って大人数で一緒に行動するじゃないですか。そうすると“まわりに合わせる”という脳の使い方が定着してくるのかな、と思ったんですよね。
須田:まわりに合わせる脳の使い方、というのがあるんですね?
加藤:まわりを意識する脳番地というのは、右脳にあるんです。グループ活動をしているとずっとこの部分を使っているので、だんだんとそこが鍛えられて、自然とまわりに合わせることができるようになるのかな、と考えたわけです。
須田:それってつまり、協調性がある脳になるということですか?
加藤:その通りです。AKB48の神7の皆さんらは協調性のある脳を持っていた、ということ。まわりに合わせて同調したり、あるいはしなかったり、ということが自然とできるようになっているんだと思いますよ。
グループでもあくまで
「自分の意見」を大事にしたい
須田:でも私は同調が苦手です。あくまで自分の意見を大事にしたいと思っていて、私以外の全員が違う意見を持っていても、自分が正しいと思うなら「いいじゃん」と思えます。
加藤:アイドルなどのグループ活動では何かと同調が求められると思いますが、みんなと一緒に踊ったり演じたりしているとき、“同調したくない自分”のバランスはどうやって取っているんですか?
須田:みんなと同じ動きはしているんだけど、可動域を変えて人より大きく見せたりしています。形は合っているんだけど、なんかまわりと違うよね、と目立つようにしていますね。
加藤:なるほど、面白いですね。まわりに合わせながら目立とうと思っている。それこそが、須田さんが左利きゆえに持つ強みだと思います。というのも右利きの人たちは、先ほど言った両サイドの視野に注意を向ける脳番地があまり発達していないので、どうしてもまわりに合わせることだけに意識がいきがちなんですよ。
でも須田さんは左利きゆえもともと視野が広いので、そこまで無理しなくてもまわりを見ることができる。だから、同時に自分個人のことも意識できる余裕があるんだと思います。そこがちょっと、他のアイドルの方とは違うんじゃないでしょうか。