左利きは「脳のアドリブ力」がある!
加藤:須田さんはアイドルグループに入って12年になりますが、個人としてやってみたいこと、あるいはグループを卒業したらやってみたいことってありますか?
須田:実は私、全く野望がない人間といいますか。何か目標を決めると力づくで叶えに行こうとするタイプなので、それがすごくストレスになってしまうからなんですけど。目標達成のために我慢して自分を捻じ曲げようとしちゃうところがあるので、そういう我慢をしないで生きていける選択をしたくて。だから「これが絶対やりたい!」みたいなのはないんですよね。お仕事もご縁が続くからやらせてもらっていたり、サポートしてくれる方に感謝しているから応えたいなというのが大きかったり。それぐらいシンプルな思いしかないのが正直なところなんですよ。良いのか悪いのか分からないんですけど。
加藤:今を最大限に生きる、という感じですかね。
須田:そうかもしれません。でも最近は、「やってみたいな」「こういうことやれたら素敵なのかな」と思うことが増えてきたんです。たとえばすごく些細なプライベートのことなんですけど、パズルをひたすらやってみたいな、という欲求があって。ジグソーパズルの細かいものを、何日もかけてやってみたくてたまらないんです。
加藤:パズルって平面空間ですから、もしかしたら今、右脳と左脳を両方使いたいという欲求が高まっているのかもしれませんね。
須田:昨日も「どんなパズルを買ったら私はときめくんだろう?」って、ずっと検索していて。お仕事でも、自分は人より身体能力が少し高いんだ、それが私の良さなんだ、と気づいてからは、もっとアクションを磨いてみたいなと思うようになっています。そういう「やりたい」が、最近初めて出てきているかもしれません。
加藤:左利きの人は、もともと状況に合わせて右手を使ったり左手を使ったりしてきているからアドリブ力が高い人が多いんですけど、もしかしたら須田さんの脳のアドリブ力が開花してきているのかもしれないですね。
須田:最近初めて、できることを増やしたいなと思うようになってきて、1年前からギターも始めたんです。それまでは、ずっと興味はあったんですけど私にはできないだろうな、と思っていて。
私はもともとは、一度に2つのことができない人間だったんですよ。大学とSKE48の活動も両立できなかったし、クラシックバレエと勉強の両立もできなかったし。1つのことしか頑張れないタイプなので、アイドル活動をしながらギターを練習するのは無理だろうと思っていたんですけど、たまたまご縁があって始めたら、ものすごく性に合っていて。今は、努力したらしただけ結果がついてくることとか、他の人にできるなら私にもできるはずだという思いが、すごく私の中でモチベーションになっています。
須田亜香里は「右脳の理解系」で世界を見ている
加藤:何かを習得するときって、どういうふうにして習得しますか? 他の人を完全に真似する感じ?
須田:できている人を見て、それをまず自分の中で基準値にします。そこに自分を合わせていく、という感じですね。
加藤:なるほど。この質問をしたのは、今、須田さんは脳のどの部分で一番世界を見ているのかな、と考えているからなんですけど……。
須田:脳のどの部分って、脳ってそんなにたくさんの部位があるんですか?
加藤:ありますね、視覚系、聴覚系、運動系、物事を理解する頭頭葉……。それで今日こうしてお話ししている感じでは、須田さんは主に右脳の理解系の部分で物事を捉えている気がします。これはあくまで僕の直感ですけど。というのも、1個のことに捉われるかと思えば、何となくいつも全体を捉えながら自分のやることを選んでいる気もしたから。
須田:右脳の理解系ってどういう働きをするんですか?
加藤:右脳の理解系脳番地は、左手を動かす脳の部分の、すぐ後ろにあるんです。で、この理解系脳番地を鍛えると、目や耳から入ってきた様々な情報や言葉、物事を理解したり解釈したりする力が高まる。つまり、全体をニュアンス的に捉えることが得意になるんです。「これってこんな感じだな」というように。須田さんの選択する言葉を聞いていると、何事もすごくニュアンスで捉えている印象を受けたんですよね。
須田:歩いているときも、すごく感覚を大事にしています。音楽を聴くと感覚が入ってこなくなるので、歩くときはあまり聴かないほど、感覚で物事を感じ取るのは好きですね。
加藤:その感覚を重視するところは、おそらく左利きの人はすごく共感するところじゃないかと思います。それがアイディア力とか直感を育てていく。左利きの特徴の中でも良い面の一つだと思っているのですが、そのままその感覚を大事にしていくと、須田さんの持つ才能の開花につながると思いますよ。