10人に1人という左利き。自身も左利きで、『1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き』著者の加藤俊徳医師によると、左利きには「ひらめき」や「独創性」など、右利きにない様々な才能があるそうです。実際、左利きとして知られる有名人の中には、他にはない天才性を見せている人も多くいます。
そこで、加藤先生が各界で活躍する「すごい左利き」の才能を深掘りする新企画【すごい左利きファイル】をスタート。第二回に登場するのは、アイドルグループ・SKE48のメンバーとして人気の須田亜香里さんです。
全3回でお届けする須田さんへのインタビュー。本記事では須田さんの秘めたる才能、そしてそれを覚醒させる方法をお届けします。(構成:山本奈緒子)

「左利きあるある」を須田亜香里が語る!両手でメイク?利き顔も左?

ハサミ、おたま…世の中の左利きあるある

加藤俊徳先生(以下、加藤):須田さんはどのくらいの左利き度合なんですか?

須田亜香里(以下、須田):子どもの頃に読み書きを習得し始めた頃は全部左手だったんですけど、時々鏡文字を書くことがあって。それで母が「書くのは右手がいいんじゃないか」と考えて、ペンを持つことだけ右利きに変えました。だから書道も絵を描くのも右。あとハサミも左手だと切りづらいので、右手で切っていますね。でもそれ以外は全部左です。食べるのも、投げるのも、歯磨きも。

加藤:僕は新潟の田舎に育ったんですけど、法事で地域の人みんなが集まっているときに「自分だけ左利きだ!」と気づいて。それで自分で選択して右利きに変えたんですよ。習字なんかは、4歳のときにわざわざ小学生だった叔母に頼んで一緒に習いに連れて行ってもらって。でも無理に右利きに変えたからか、全然手がスムーズに動かなかったですね。今でもどこか右手で字を書くと、「これは僕の字じゃない」という感覚があるんですけど、須田さんは簡単に右手に変えることができたんですか?

須田:ちょうど文字を覚え始めたタイミングだったので、そんなに抵抗はなかったです。それよりも、せっかくみんなと違う左利きだったのに珍しくなっちゃう、という残念な気持ちのほうが大きかったのを覚えています。

加藤:ご家族に左利きの方はいらっしゃいますか?

須田:父が左利きです。父は書くのも左手なんですけど、社会人になってから右手で書くことも習得したみたいで。だから両手で書いていて。私は左手では書けないから、ズルイなって思います(笑)。

左利きならではの「両手メイク」

加藤:何か左利きで得していることはありますか?

須田:メイクは両手でできるんですよ。アイラインを引くときに、右の目は右手で引き、左の目は左手で引く。当たり前にやっていたので気づかなかったんですけど、まわりから「器用だね」って言われて、右利きの人は左目も右手でメイクしているんだ!と初めて気づきました。両手でメイクできるのはけっこうラクでいいですね。

加藤:そうか、僕は男だからメイクをしないから、利点が生かせなくて残念だな。反対に左利きで困ったことはありますか?

須田:駅の改札が自動改札機になる前は、切符を入れるところが右側にあるから左利きの人は入れづらい、と聞きましたけど、私は普通に右手で入れていました。わりと状況に対応する力はあるほうというか、無理せずラクに生きていたいので、左手を使うことにこだわらずやりやすいほうの手でやってきたんです。だから急須が持ちづらいと思ったこともないし……。あ、でも右利き用の注ぎ口がついているお玉は「この機能、いらないなあ」と思いますけど、それぐらいですね。

利き顔も「左」

加藤:アイドルゆえにダンスをすることが多いですけど、ダンスって左利きだとどうなんですか? 良いこと、困ることってありました?

須田:アイドルになる前はずっとクラシックバレエをやっていたんですね。世の中は基本的に右利きの人が多いから、踊りも右回転や、右軸で足を上げる振付が多いんですけど、もちろん左回転や、左軸で足を上げる振付もあります。私は左利きのせいか、わりとどちらの回転も得意でしたね。みんな、最初は左回転はあまり回れなかったりするんですけど、私は左軸に慣れていたので、他の人より早く上達していた記憶があります。

加藤:そうですか、意外と困っていなかったんですね。今はアイドルグループで大人数で活動していますけど、その中で左利きだとどういう不便と良さがありますか?

須田:わりと左手にマイクを持って、右手ぶりで踊る曲が多くて。それって右利きの人が多いから、右手のほうが動かしやすいからなのかな、と思っていて。でもとくに、左手ぶりじゃないから踊りにくいと感じたことはないですね。あー、でも利き顔ってあるじゃないですか。左から撮られたほうが可愛くうつる、とか。私はおそらく顔も左利きで、右から撮られる顔はあまり自信がないんです。だけどいつも私の中では、こんなに左顔ばかり見せていたら右顔がかわいそうだ、という葛藤があって。

加藤:分かります。僕は右利きに矯正したものの、どうしてもラクなので左手ばかり使ってしまう。そうすると「最近、右手をかわいがっていないな」と申し訳ない気持ちになるんですよね。でもこれって右利きの人は全く思わないことなんだ、とあるとき気づいて。右利きの人は「左手をかわいがってあげよう」なんて気持ちはなくて、むしろ左手は「右手をサポートする手」ぐらいにしか思っていないんじゃないかな、と。

須田:えー、右がかわいそう! だから私、たまに右顔を自撮りしたりしていますよ。

加藤:右と左をバランスよく使わなきゃ、というのは左利きあるあるですね(笑)