4月の米インフレ率が2カ月連続で8%を突破したことは耳の痛いニュースだ。ただ、インフレ率が向こう1年のある時点でおよそ半分になる可能性が極めて高いとみられることは朗報だろう。これはそれほど大胆な予測ではない。消費者物価指数(CPI)の各項目、物価連動国債(TIPS)利回り、賃金動向を個別に検証していくと、いずれもインフレ率が約4%前後で落ち着きそうなことを示している。もっと重要な問題は、その後にどうなるのかということだ。米連邦準備制度理事会(FRB)も含め、FRBが目指す2%の水準に向かって自然に鈍化し続けるというのが多くが望む展開だろう。しかしながら、インフレ率が4%前後にとどまったり、むしろじりじり上昇に転じたりすると考えるべき十分な理由も存在する。これはFRBにとって許容できない展開であり、金融市場が現在想定している以上の金利引き上げに扉を開き、さらなる相場急落や景気減速を招きかねない。
米インフレ鈍化へ、でもFRBが安心できない訳
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