こうしてみると、八重山諸島は戦時に備え、地元住民、日本政府、それに中国と台湾の思惑が複雑に絡み合う状況下に置かれていることがわかる。

「アメリカは日本を守る」「有事が起きれば軍事介入する」といったバイデン大統領の言葉に頼るだけでは事足りない。

ゼレンスキー勇気の言葉100『ゼレンスキー勇気の言葉100』
清水克彦 著
ワニブックス
税込1430円

 防衛費を増額し、中国に「日本を攻めたらものすごい反撃に遭う」と思わしめるほどの体制を整える必要がある。当然、自衛隊の南西シフトもさらに強化すべきだ。

 台湾有事や尖閣諸島有事が生じた際の最前線となる与那国島や石垣島を取材後、一連の首脳会談を見ながら、日本も本気で有事に備える段階に来ていると実感させられた。

 なお、侵攻開始から3カ月が過ぎたロシア・ウクライナ情勢に関しては、ウクライナのゼレンスキー大統領の言葉を材料に、両国を取り巻く各国の思惑や安全保障の問題が簡単にご理解いただけるよう拙著を上梓した。ご一読いただけたらありがたい。

(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師 清水克彦)