小児は、1日当たり平均して2.5時間をテレビの視聴に、30分をソーシャルメディアの使用に、1時間をビデオゲームに費やしていた。解析の結果、ビデオゲームに平均より多くの時間を費やしていた小児では、2年後の追跡時にIQが平均より2.5ポイント高いことが明らかになった。この結果は、世帯収入や親の教育レベルなどを考慮しても変わらなかった。これに対して、テレビの視聴やソーシャルメディアの使用に多くの時間を費やしていた小児では、知力に対してプラスの影響もマイナスの影響も認められなかった。

 Klingberg氏は、「2年後に知力が最も増加していたのは、より多くの時間をビデオゲームに費やしていた小児だった。この結果は、ビデオゲームが認知に有益な影響を及ぼすことを示すエビデンスだ」と結論付けている。

 この研究には関与していない、米国精神医学会のCouncil on Children, Adolescents, and Their Families(小児、青少年、およびその家族の評議会)のメンバーであるAnish Dube氏は、「ビデオゲームは、日常生活では経験しないようなタスクに取り組ませる“濃縮された”環境の中で子どもを考えさせる。それが、子どもをより賢くするのかもしれない。ビデオゲームでは多くの場合、積極的な戦略や計画、思い切った意思決定が必要になるからだ」と話す。その上で、「ビデオゲームをすればするほど、ゲーム上の目的達成に関わる神経回路が強化される。その回路が、われわれが知力を測定する際に考慮する現実世界での意思決定にも関わっているのかもしれない」との見方を示す。

 一方、米Center for Developing MindのDamon Korb氏は、「この研究は、知力に関わる潜在的なベネフィットのみに着目しており、他の研究で報告されているような、ビデオゲームが健康に与え得る悪影響については考慮されていない」と指摘。「臨床的な経験からすると、ビデオゲームが大きなマイナスの影響を与え得ることは明らかだ」と話し、結果の慎重な解釈を求めている。

 Korb氏は、「子どもの知力を高めたいのなら、ビデオゲーム以外にも選択肢はある。例えば、チェスのようなゲームやピアノのレッスン、卓球などは、認知機能にプラスの影響をもたらすことが過去の研究で報告されている。何よりビデオゲームには、やり始めるとなかなかやめられないという中毒性の問題もある。これは潜在的に危険だし、不健康でもある」と話している。(HealthDay News 2022年5月19日)

https://consumer.healthday.com/5-19-could-video-games-boost-a-child-s-intelligence-2657328837.html

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