残業できない今の時代こそ「出世競争のチャンス」である理由Photo:PIXTA

「働き方改革」の浸透は
ライバルから一歩抜け出すチャンス

 かつて1980年代後半~90年代前半くらいのバブル経済期に、海外から「日本人は働き過ぎだ」と批判を浴びた時期があります。「24時間戦えますか」という栄養ドリンクのキャッチコピーが消費者の心をつかんだ時代です。

 その後、バブルが崩壊し日本経済の低迷が続く一方、過重労働による健康被害や、長時間労働が育児や介護など人々の生活の足かせとなっている実態がだんだん認識されるようになり、働き方改革が政府の施策として推進されるようになりました。

 労働時間に関しては、法律で残業時間の上限が定められ、原則月45時間、年360時間を超える残業は、臨時的な特別の理由がない限りできなくなりました。こうした労働時間規制で働き過ぎを防ぎながら、ワーク・ライフ・バランスと多様で柔軟な働き方を実現することを政府の働き方改革は目指しています。

 多くの会社で残業時間削減の取り組みが行われている背景には、このような社会の変化があります。それで「早く帰れるようになった」と喜ぶ人がいる半面、もっと働きたい人には物足りなくなった面もあるでしょう。

 特に、若手でこれから一人前になりたいとやる気が高まっている人、あるいは同僚より一歩抜きんでたい気持ちの強い人は、より物足りなく感じると思います。今回はこうした人たちに向けて話を進めましょう。