働く幸せを左右する「意外な要因」Photo:10'000 Hours/gettyimages

国内におけるウェルビーイング研究の第一人者・前野隆司氏(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)と、「チームの生産性」と「メンバーの幸福感」の両立を実践する青野慶久氏(サイボウズ代表取締役社長)が、「企業の生産性向上になぜ『人間性の回復』が必要か?」をテーマに対談。全4回の第2回となる今回は、前野教授に「働く人の幸せと不幸せに影響する要素」について語ってもらった。(聞き手/らしさ探究家 横川真依子、構成/ダイヤモンド社編集委員 長谷川幸光)

>>前回より続く

働く人の幸せに影響する7つの要素と
不幸せに影響する7つの要素

前野隆司氏(以下、前野) 実はパーソル総合研究所さんと一緒に、今のお話とも非常に関係ある研究を行ったんです。

「幸せの4因子」(※人の幸せに影響する要素のうち、前野氏が掲げる主な4つの要素)は4つでしたが、職場においては、もっとさまざまな要因があるのではないか、しかも、「働く幸せ」と「働く不幸せ」は反意語とは言い切れないのではないかと考えて調査し、「はたらく人の幸せの7因子」「はたらく人の不幸せの7因子」というものを導き出しました。

 そして、テレワーク前後で「企業の幸福度」にどのような変化があったのか、役職や地域ごとに違いはあるのかなどを、さまざまな企業で調査し分析しているところなんです。

前野 「はたらく人の幸せの7因子」のうち、新たなことを学ぶ「自己成長因子」や、やってみようと我が事にする「役割認識因子」、職場なので「リフレッシュ因子」「チームワーク因子」。そして、人との関係ですよね、誰かに見てもらえているかという「他者承認因子」や、誰かの役に立っているかという「他者貢献因子」、マイペースで仕事ができているかの「自己裁量因子」。いずれも大きな目でみると、主体性とも関連していますよね。

「はたらく人の不幸せの7因子」では、「自分なんて……」と思ってしまう「自信抑圧因子」「理不尽因子」や、職場がバラバラである「恊働不全因子」。不快な環境である「不快空間因子」、評価が不満で報われない「評価不満因子」、ひとりぼっちである「疎外感因子」、そして「オーバーワーク因子」

 これらを分析すると、皆さんの会社は、どこが幸せで、どこが不幸せかがわかるのです。たとえば、今回のテーマである生産性、パフォーマンスの部分を見てみましょう。