ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
イラクってどんな国?
アラビア半島の基部にあって国土のほとんどは乾燥気候ですが、中央部を流れるティグリス・ユーフラテスの両河川沿岸には、古代メソポタミア文明が栄えました。
経済を支えるのは、埋蔵量、産出量とも世界有数の石油です。度重なる戦争や国際的な経済制裁等によって石油の生産は落ち込んだこともありますが、徐々に回復しました。
首都バグダッドは8世紀に開かれたイスラーム帝国アッバース朝の都として繁栄しました。20世紀に入ってイギリスの委任統治領となりましたが、後に独立し、第二次世界大戦後共和制に変わりました。
1968年にバース党政権が成立、1979年からサダム・フセインが大統領として独裁体制をつくりました。
石油の利権を巡って1980年~88年にイランとの戦争を繰り広げ、1990年にはクウェートに侵攻して湾岸戦争を引き起こしました。
その結果、イラクは国際的に孤立することになります。2003年からアメリカ軍の攻撃を受けて政権は崩壊。その後も宗教対立による内戦が続く中、IS(イスラミック・ステイト)が全土を掌握したため、アメリカ軍主導の有志連合がIS掃討を開始し、2017年に終了しました。
IS掃討後は、北部のクルド人自治区とイラク中央政府との対立が激化し、少数民族クルド人の独立運動が続いています。
イラク共和国
面積:43.8万㎢ 首都:バグダッド
人口:3965.0万 通貨:イラク=ディナール
言語:アラビア語(公用語)、クルド語(クルド人自治区の公用語)
宗教:イスラーム(国教)95-98%(シーア派64-69%、スンニ派29-34%)
隣接:サウジアラビア、クウェート、シリア、トルコ、イラン、ヨルダン
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)