古いシステムのメリットを過度に強調
根拠もない幻想で悪影響
もうひとつイノベーションをつぶす典型的な手法が、「(2)古いシステムのメリットを過度に強調する」というものだ。
今回の「さんぽセル」の場合、それは「ランドセルによって足腰が鍛えられる」というものだ。
ただ、これは科学的にはなんの根拠もない。むしろ、悪影響を及ぼしているという専門家の方が多い。例えば、アメリカではこんなことがいわれる。
しかし、日本の小学生はアメリカの医学界が「決して超えないこと」と警告する重さを軽々と超えている。
ランドセルメーカーのセイバンが調査をしたところ、「1週間のうち、ランドセルが最も重い日の荷物の重量は、平均で約4.7キロ。ランドセルの重さも含めると平均約6キロのランドセルを背負って登校している」(18年6月6日プレスリリース)ことがわかった
アメリカ人の感覚ではありえない「重り」を背負って、日本の子どもたちは炎天下の中で「行軍」をするように黙々と学校を目指して歩いている。見ようによっては立派な「虐待」だ。
これがいかに理不尽なことなのかというのは、開発した小学生たちへの「体を鍛えろ」という批判に対する反論がすべて物語っている