“ロールプレイ”で学ぶビジネスマナーのいろは

「『フレッシャーズ・コース2022』を活用した自律型新入社員研修」の2日目は、メインの講師が替わり、前日の鈴木麗子さんから金井健史さんに。サブ講師は、前日と同じく、近藤敏弘さんだ。

 1日目は「マインド」を学んだが、2日目の学習テーマは「マナー」。定刻どおりの午前10時に金井講師が登壇し、「今日はロールプレイをたくさんやります。社会人として好感の持てる動作を身につけていってください」と受講者に呼びかけて、2日目のプログラムがスタートした。

 まず、1日目の研修内容の復習を簡単に行い、グループ替えを行うことに。すでにグループごとの強い絆ができていたと私は感じていたので、研修後に金井講師にその理由を尋ねた。

「グループのメンバーが変われば、前日とは違う新たな役割を担うようになります。グループワークにおいてさまざまな役割をこなすことが、企業で仕事を行うための良い経験値になります」(金井講師)

 できるだけ多くの別会社の新入社員に出会い、さまざまなメンバーとグループワークを行っていくことが、よりいっそうの学びにつながるのだろう。

 新たなグループでまた自己紹介が行われ、前日同様にリーダーとサブリーダーが選出されていったが、前日とは異なり、各グループでリーダーになった受講者が、講師のもとにすぐに報告に向かう姿が印象的だった。新たな座席表の作成と提出も前日よりスムーズで、特に変化を感じたのは、グランドルールを決める姿勢だった。新入社員の動向を、研修2日間を通して見ていた近藤講師がこう語る。

「1日目は、多くのグループが椅子に座りながらグランドルールについて話し合っていましたが、2日目は、すべてのグループが模造紙の前で考えていました。2日目の最初に、1日目との劇的な変化があって、その後もあらゆることに前向きに取り組んでいく姿勢が垣間見えました」(近藤講師)

 マナーの基本動作を学ぶ前に、「なぜ、仕事には“マナー”が必要なのか?」という根本について、グループごとに対話が行われた。その場面では、「対話内容についての発表におけるグループごとの持ち時間」を各リーダーが自主的に金井講師に確認しにいく姿も見られた。実際の発表の際は、自ら手を上げて質問や感想を述べていくなど、新入社員たちの能動的で積極的な姿勢が目立ち、「なぜ、マナーが必要なのか?」という問いに対する各グループの答えに対しては、金井講師がひとつひとつ丁寧なコメントを加えていった。

 どういう場面で、何を考え、どう動くのか、そして、初対面のグループメンバーに対してどう向き合っているのか――新入社員それぞれの個性が、初日からの変化とともに私にもよく分かった。

 次は、基本の学習。「FC」の「ビジネスマナーハンドブック」に記載されている「身だしなみチェックリスト」を使い、髪や服、足元などの項目をグループ内で3人1組になって確認し合っていく。内定期間中にビジネスマナーの必要性をそれぞれの新入社員がテキストで理解していたので、こうした具体的な研修プログラムが、「自ら考え、気づく」という“自律”につながるのだろうと思った。「お辞儀の種類と形」を同じグループ内の2人が1組になってチェックし、「名刺交換の基本ルール」をお手本動画と講師(金井講師と近藤講師)のデモンストレーションで学び取り、会議室や乗り物における「上座」「下座」のロールプレイを行っていく――新入社員たちは会場内を活発に動き、自ら進んで発言することでマナーのいろはを覚えていった。名刺交換時でのイレギュラーな対応方法を金井講師に単身で聞きに行く人がいたり、新しいグループメンバーにすぐに打ち解け、積極的にコミュニケーションをとったりする姿に私は驚いた。

 この日の研修も残り半分となり、研修の最後にはかなり成長した姿を見られるのでは?という期待が高まっていく。