はっきりとした確証は得られていませんが、さくらさんに問いただすこともできず、かといって結婚後にそういった家族関係が商売に影響することが怖かったようでした。

 さくらさんとは結婚したいが、疑念は解決しておきたい浦部さんは共通の知人を通して私に相談してきたのです。私はすぐに契約を結び、さくらさんの家族が住む四国のとある町に向かい、近隣住民への聞き込み調査や父親と兄が営む建設会社の状況を調べました。

 その結果、3日後には「問題が見当たらなかった」旨の報告書を浦部さんにお渡しすることができました。私の目の前で報告書に目を通していくうちに、どんどん明るい表情になっていく浦部さんを見て、幸せな結婚のアシストができそうな状況に喜びが湧き、私も笑顔になったことを覚えています。

結婚7カ月後に電話
「妻が浮気を繰り返している」

 満面の笑みの浦部さんと別れたその7カ月後に、また電話がかかってきました。電話の向こうで浦部さんは「今から会って相談できませんか?」と沈んだ声でつぶやきました。私はいくつかの予定を後ろ倒しにして、指定されたファミリーレストランに急いで行くと、電話のトーンそのままの暗い表情で背中を丸めた浦部さんが座っていました。

 浦部さんはポツリポツリと話し始めました。「妻のさくらが浮気を繰り返しているんです。それも複数の男性と。僕の車にはGPS発信機が3台も取り付けられていました。入念に僕の動きをチェックして、僕のお金で派手に遊んでいるようなんです。できるだけ早く離婚したく、裁判で有利になるような証拠を押さえてください」

 私はすぐに契約を結び、さくらさんの調査を開始しました。4日後の週末にさくらさんは仙台に男性と1泊旅行に出かけました。浮気の証拠と男性の身元情報を得ることができました。その後2度ほど調査を行い、別の男性と大阪へ1泊旅行に出かけ、さらに別の男性とも博多へ1泊旅行に出かけ、いずれも決定的な浮気の証拠を得ることができました。