思わぬ状況におびえている様子の調査員に、安全な場所に避難するように伝えていったん電話を切り、すぐさま浦部さんに電話したところ、何度かけてもつながりませんでした。取り急ぎ状況をメールして、私は現場に向かいました。

 到着して、調査員の安全を確認して詳しい状況を聞いたところ、

「騒いでいた上下スエットの悪そうな男性は、恐らく102号室に入った男性が通報して駆けつけたパトカーに連れて行かれました」と震える手で、コーヒーを飲みながら報告してくれました。

 その調査員は帰宅させ、別の調査員を手配して張り込みを継続しました。

 102号室の人物が何者であるかは分からず、危険人物の可能性もありましたが、安全に気を配りながら浦部さんからの連絡を待つことにしました。6時間ほどたった23時過ぎに浦部さんから電話がかかってきました。

パトカーで
連行されたのは?

浦部さん「すいません!なかなか電話ができなくて。どんな状況ですか?」
片岡「対象者が102号室に入ってからは、人の出入りはなく、部屋の電気はついている状態です」
浦部さん「承知しました。お手数ですが引き続きよろしくお願いいたします」
片岡「この対象者は何者ですか?上下スエットの男性が裏庭から侵入して、窓をたたいて騒いでパトカーに連れて行かれましたよ。この案件大丈夫ですか?」
浦部さん「あ、それ私です」

 私は驚き、無言になってしまいました。浦部さんこそが危険人物ではないかと疑いましたが、浦部さんの説明を聞いて納得できました。