流暢な英語を話す「兵馬俑顔」の男性

 起爆剤になったのは、新東方学校の「元」英語教師、董宇輝さんだった。オンラインコマース自体が日本ではまだ一般的ではないので説明すると、テレビショッピング番組のオンラインライブ版を想像してもらえばいい。そこで進行役の董さんが軽妙な口ぶりで手にした商品を説明しつつ、冗談を飛ばしていたかと思うと、ホワイトボードを手にとって流暢な英語で商品説明とそれにまつわる英語表現の解説を始めたのである。これが「タダで生きた英語が学べる」と話題になり、あれよあれよとその映像がコピーされ、多くの人たちの目に触れた。

 さらに、董さん自身の外見も一役担ったことは否めない。彼は無骨な農村青年そのものの顔立ち(実際に彼は自分が農村出身であることを公言している)で、中国語には田舎なまりもあり、街で出会った人ならまさかそんな彼が英語を話すとは思わないだろう。口の悪い視聴者に「兵馬俑顔」と形容されたその彼が、流ちょうな英語で英語の授業さながらに商品に関する用語を解説してみせたことに視聴者は度肝を抜かれた。

 そこから、彼以外の「元」教師たちもそれぞれの担当時間で、商品を紹介しつつ英語による説明やレッスンを加えるようになり、それが「東方甄選」への爆発的な注目をもたらしたのである。