カルバラーの戦いとシーア派

 そしてバグダードに近いカルバラーの地でフサイン一族を襲撃し、女性と子どもを残してフサインを含むほぼ全員を殺害しました。

 680年のことです。

 このカルバラーの戦いがあった日を、シーア派では「アーシューラー」と呼びます。

 無残に殺害されたフサインの殉教命日として、この日、シーア派の男たちは自分の身体を鞭(むち)や鎖(くさり)で打ち、泣き叫んで行進しては祈ります。

 カルバラーの地で殺害されたフサイン一族は、ムハンマドの血統を正しく引き継いでいるので、フサインにつながる一族のみに、すべてのムスリムの宗教的・政治的首長となる権利を与えるべきだ、このように考える人々が「シーア・アリー」(シーア派)となりました。

 『哲学と宗教全史』では、哲学者、宗教家が熱く生きた3000年を、出没年付きカラー人物相関図・系図で紹介しました。

 僕は系図が大好きなので、「対立」「友人」などの人間関係マップも盛り込んでみたのでぜひご覧いただけたらと思います。

(本原稿は、13万部突破のロングセラー、出口治明著『哲学と宗教全史』からの抜粋です)