2012年はまれに見る政治の年だった。日米中露仏韓と世界の主要国で、政権が替わるか、新政権が発足した。それを投影して経済も不安定だった。さて、安倍新政権は、対外的には日中、日韓の関係改善という難題を抱える一方、大幅な金融緩和と財政出動を掲げてスタートを切る。政府部門はGDPの200%にも達する借金を抱え、再生は容易な道ではない。「巳年」の巳は草木の成長が極限に達して、次の生命が創られることを意味するという。果たして、日本は再生の糸口を見つけられるのか。そうした状況下、2013年を予想する上で、何がポイントになるのか。経営者、識者の方々にアンケートをお願いし、5つののポイントを挙げてもらった。
みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト。1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い
①世界中が「財政の崖」に
理由:世界中が財政の正常化に向けた「崖」の状況に。
②世界の中央銀行の「金融緩和オリンピック」に
理由:世界的なバランスシート調整下、金融緩和競争が「通貨戦争」に。
③世界中が「政局化」
理由:世界各国の国内では、期待と現実のギャップから不満が高まり、現政権の批判が「政局化」と社会不満に。
④世界は「新重商主義」へ
理由:国内の不満と海外の利権意識の高まりから、市場確保の観点からのグローバルコンフリクトに。
⑤世界大恐慌の環境との類似性も
理由:世界大恐慌の頃と比べて、セーフティネットは多いものの、経済・金融的環境の類似性が存在。