「休業するサポート」と「仕事するサポート」の双方を

 当調査は、WEBアンケートが2021年6月に、インタビューが2020年8月~10月に行われている。いずれも、新型コロナウイルス感染症による“コロナ禍”だが、子育て世代でもあるミレニアル世代の就労に“コロナ”はどう影響しているのだろう。

山谷  影響はとても大きく、男性が在宅勤務になり、子どもを保育園に迎えに行くといった育児参加などが増えたという声が多かったです。女性社員も、コロナ前は短時間勤務だったのが、テレワークになったのでフルタイムに戻せたり、と……インタビュー調査では、「アフターコロナになっても、テレワークを続けたい」という声が多く、その利点をおっしゃる方がほとんどでした。通勤にかかる時間を家事や育児にあてられるからでしょう。育児に関しては、緊急事態宣言の最初の頃の、ほとんどの学校が休校になったときは大変だったようですが、子どもが通学できる状況でのテレワークは、ミレニアル世代の仕事や家庭生活のあり方の選択肢を増やしました。一般的に、子どもを保育園に送りに行くのは父親で、迎えに行くのは母親という役割分担が多く、母親である女性社員が退社時間を気にすることが多いでしょう。だから、テレワークする父親がお迎えの役割を担うことで、母親が退社時間を気にしないようになるのは、小さな子どものいるデュアルキャリアカップルには貴重な変化です。残業や長時間労働はできるだけ避けるべきですが、「帰る時間を気にしないでもよい日がある」というメリハリある働き方が生産性を高めていくようです。

 コロナ禍において、テレワークの運用や健康管理の促進など、企業経営者や人事・総務部からの社員への働きかけは増えたが、“コロナ”の有無にかかわらず、子育てするミレニアル世代の働きやすさのために、経営者や人事・総務部は、いま、何をすればよいのか? 今回の調査結果を踏まえて、山谷さんにアドバイスしてもらった。

山谷 仕事と育児の両立支援というと、短時間勤務制度の拡充や育児休業制度を手厚くすることを考えがちですが、逆に「仕事するサポート」を考えていただきたいと思います。それを実施している企業の例では、育児休業から早くに職場復帰した方にベビーシッターなどの補助金を出すといった施策があります。もちろん、お金ではなく、復帰した時に働きやすい環境を作ることが先決です。休業や短時間勤務など家事・育児をするためのサポートが必要な方もいらっしゃる一方で、就労するためのサポートを望む方もデュアルキャリアカップルにはいらっしゃるので、一人ひとりが自分に合った制度を利用できる仕組みを、経営者や人事部が用意できるといいですね。また、職種によってはテレワークが困難な方も多いので、その場合は、よりフレキシブルなフレックスタイム制を導入するなど、“柔軟な働き方”が可能になることが必要です。