調査結果が示す“ミレニアル世代の就労観”とは?

 ミレニアル世代は現在27歳~41歳*12 であり、当調査(WEBアンケート調査)の回答者属性では、男性の47.2%、女性の81.7%が一般従業員で、課長職および課長相当職以上の「管理職」は男性が12.4%、女性がわずか2.1%という低い数字になっている。つまり、ミレニアル世代は、自分たちよりも上の世代である新人類世代・バブル世代・団塊ジュニア世代といった管理職の下で働いているケースが多く、何らかの世代間ギャップを感じていると推測できる。

*12 「子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究」のWEBアンケート調査・インタビュー調査時は26~40歳。

山谷 男性のインタビュー調査における声に、「世代が上の管理職とは意識が合わない」というものもありました。たとえば、子どもが寝てしまう遅い時間に帰宅していた人が多い50代以上の世代は男性の育児参加そのものへの理解が比較的低いのではないか、と思われます。「上の世代が引退して、自分たちの世代が管理職になれば働きやすくなる」といった意見もありました。また、私たちは、ミレニアル世代の就労時間は管理職にあまり左右されないものと思っていたのですが、実際はそうではなく、管理職に強く影響されていることが分かりました。上司が、「男性であれば残業は当たり前」といった考えだと、子育て中の男性の残業時間も長くなっているのです*13 。多くの女性は子どもが生まれれば働き方を変えていますが、特に管理職を目指している男性などは、子どもが生まれても帰宅時間が遅いままだったりします。ミレニアル世代の男性社員が、上の世代の管理職を忖度している様子が調査結果から垣間見えます。

*13 「子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究」のWEBアンケート調査におけるQ25=「【男性】子どもがいる男性への上司の残業命令別 現在の本人の働き方(育休取得中除く)」より。

 たとえば、残業の多い男性と時短で働かなければならない女性という夫婦共働きのスタイルでは、お互いがキャリアアップを目指す “デュアルキャリアカップル”にはなかなかなれないだろう。山谷さんはこう解説する。

山谷 「(一日における)就労時間の長さ」が仕事の能力を測る物差しになっていて、時間あたりの生産性ではなく、長い時間働いている人が高評価される企業がまだ多いようです。結果、夫婦のどちらかの就労時間が長く、どちらかが短いかたちにならざるを得ません。私たちが考える“デュアルキャリアカップル”は、夫婦の一方が長時間働き、どちらかが短時間働くというよりも、お互いが就労時間をフレキシブルに調整し合いながら、それぞれのキャリアを築いていくというものです。しかし、就労時間の長短が評価と大きく繋がっていると、「長時間勤務できる夫(妻)に昇進してもらおう」というように、配偶者のキャリアを優先することになります。働き方改革をうまく行っている企業は、時間あたりの生産性に着目していますが、調査結果を見れば、まだそうした傾向が低いことが推察されます。