身売りの日は刻一刻と近づいている――。国内で3番目の売上高を誇る西武百貨店池袋本店を擁するそごう・西武。親会社のセブン&アイ・ホールディングス(HD)がそごう・西武の売却先について、米国のフォートレス・インベストメント・グループに優先交渉権を与える方針を決めた。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
池袋本店にヨドバシ入居か
交渉難航の可能性も
そごう・西武は、旧そごうの経営破綻を受けて旧西武百貨店と経営統合し、2003年にミレニアムリテイリングとなったが、再び経営状態が悪化。06年にセブン&アイ・ホールディングス(HD)の傘下に入った。
そごう・西武の買収は、16年のクーデターで実権を失うまでセブン&アイHD会長として采配を振るった鈴木敏文氏の意向だったが、独自のネット通販サイト「オムニ7」と並ぶ悪手だったとされる。
これまでそごうや西武百貨店の地方店舗を次々に手放してきたが業績改善には至らず、20年の新型コロナウイルスの感染拡大がダメ押しとなった。セブン&アイHDの百貨店事業の有利子負債は22年2月期末で1698億円に上る。
セブン&アイHDはそごう・西武の売却を決め、今年5月に行われた2回目の入札で、米国のフォートレス・インベストメント・グループ、ローン・スター、シンガポール政府系のGICの3社が応札した。価格はおおむね2000億~3000億円の範囲内だったという。
セブン&アイHDは3社の提案内容を吟味した結果、2000億円台後半の最高価格を提示したとみられるフォートレスに優先交渉権を与える方向で最終調整に入ったようだ。
だが、このディールが成功裏に終わるかは不透明だ。
フォートレスの提案には、国内で3番目の売上高を誇る西武百貨店池袋本店に、家電量販店大手のヨドバシホールディングスの子会社、ヨドバシカメラの入居計画が含まれているとみられる。
これが、そごう・西武の買収時と同様に「悪手」となる可能性が高いのだ。