「身銭を切って贈り物」は
コスパ抜群のビジネススキルだ
管理職の悩みあるあるの一つに、「部下が言うことを聞いてくれない」というものがあります。症状としては多様で、「やる」と答えたはずなのになぜかやってくれていないとか、頑固で「そんなのやる必要がない」と常に反論してくるとか、そもそも会社のルールを守れないとか、関係性が悪いのでガン無視されるとか、さまざまです。
この悩みに対する典型的なアドバイスに、「部下はそもそも言うことを聞いてくれない生き物だ」というものがあります。ここでの“生き物”という表現の裏には、それが人間という動物の本性だという意味が込められています。そしてアドバイスはこのように続きます。
「“言うことを聞いてくれない部下”という状態を前提条件に、それをどうしたら動かせるのかを知恵をひねって考えるのが管理職の仕事なのだよ」と。
管理職講座で一般的に教えられるポイントは、「言うことをきかない部下一人一人の理由と対策が異なる」という教えです。並の管理職は得意のワンパターンの部下を動かす方法に固執する傾向があって、職場内では動くお気に入りの部下と動かない部下に二分される傾向があります。
一方で私が「この人はできるな」と思う管理職は、部下一人一人の個性や能力特性の違いを把握して、「この人を動かすのはここ」「あの人の場合はこうやったらいい」という動かし方のポイントがきめ細かいという点があります。
今回取り上げたいのは、前者のビジネスパーソンへのアドバイスです。人の動かし方がいつもワンパターンしかなくて中途半端にしかうまくいっていない。部下もそうですが、他部署、ビジネスパートナー、顧客など、うまくいかない相手がそこかしこにいる。とはいえ、一人一人にきめ細かく対応できるほど人間関係に対する才能がない。
そんなお悩みのある人が努力しなくても使える、「ツーパターン目の武器を差し上げます」という話です。