すべての動画画面に、スライド資料と西脇さんが登場

 この「プレゼンテーション研修」は、企業・団体の「研修内製化*2 」を支援するかたちだ。司会進行役となるファシリテーター(1名)がいれば、事前課題動画と研修内での動画視聴、研修内で配布されるワークシートなどによって、どんな企業・団体も、リアル対面とオンラインのどちらでも研修が行えるそうだ。

*2 参考記事「体制づくりと必然性と……企業の『研修内製化』に、いま必要なものは何か?」(HRオンライン)

 今回、私が受講した研修はオンラインで行われ、複数の企業から、あらゆる職種の24名が参加した。ファシリテーター役は、ダイヤモンド・ヒューマンリソース社の石丸恵美さん。

 まず、石丸さんが「“西脇式プレゼン”のポイントは『プレゼンを楽しむこと』です。今日は前向きな気持ちで、一緒に楽しみながらスキルアップをしていきましょう」と、受講者に呼びかけて、最初の研修動画の視聴となった。

 動画のタイトルは、「なぜプレゼン力(伝える力)が必要なのか」――西脇さんが強調するのは、「プレゼンテーションとは、相手を動かすこと」。

 プレゼンと言えば、話す内容やパワーポイントの資料を作ることに神経を使いがちだが、西脇さんの言うとおり、プレゼンを聞いた相手に何らかの行動がもたらされなければ意味がない。また、西脇さんが発した「モノ売りからコト売りへ」というフレーズも印象に残った。「『いいものを作り、共感を伝える時代』に変わったからこそ、その魅力の伝え方が重要」と、西脇さんは語る。そして、「プレゼンテクニックは持ったもん勝ち」と続け、プレゼンテクニックはひたすら練習し、人に聴いてもらったり見てもらったりして磨くしかないと説く。「テクニック」という言葉から、つい難しそうなイメージを持ってしまうが、にこやかに解説していく西脇さんを見ていると、プレゼンテーションのテクニックを楽しく習得できそうな気がした。また、動画のほとんどのシーンにおいて、ひとつの画面の中にスライド資料と西脇さんが収まり、まるで目の前で研修を受けているようなつくりになっているため、見やすく聴きやすく、とても分かりやすく思えた。

“西脇式プレゼン”のメソッドは「スライド」「シナリオ」「トーク」「オンラインプレゼンテーション」という4つのテクニックで構成されている。

「スライド」と「オンラインプレゼンテーション」については事前課題動画で学んだため、今回のオンライン研修で重点的にトレーニングをするのは、「シナリオ」と「トーク」だ。そのふたつのトレーニングに入る前に事前課題動画の内容が再確認され、「活用したいテクニック」を受講者がチャットで投稿した。「言葉の空白を作らない」「リアクションファーストを心がける」……寄せられたチャットの文面から、事前課題動画の内容を受講者の誰もがしっかり吸収していることが分かった。このように、今回のオンラインでの「プレゼンテーション研修」では、チャットを多用する方法も印象的だった。他の受講者のリアルな感想を文字で知れたのは、受講者の一人である私にとってたいへん効果的だった。

 次に、ファシリテーターの石丸さんから、研修目的と学習目標がスライドとともに伝えられた。研修目的は、「オンラインコミュニケーションで成果を上げるプレゼンテーションスキルを身につける」こと。学習目標は、「シナリオテクニックを実践できる」「『トーク』テクニックを実践できる」「『スライド/シナリオ/トーク』を総合的に用いて、オンラインプレゼンテーションを実践できる」の3つ。

 そして、いよいよ、具体的な学習に入っていく。