効果的なプレゼンテーションには「シナリオ」が大切
研修のPart1は、「相手を動かすシナリオテクニック」――「シナリオ」とは、何を話すのかを事前に準備するということ。
ウォーミングアップとして、自己紹介ワークを行うことになった。受講者一人ひとりが3分間で準備をし、ペアを組んで各々60秒間で自己紹介するというものだった。必須事項は、(1)名前、(2)所属している部署と担当業務、(3)プラスワン・トピック(趣味や最近起きたことなど)だ。西脇さんのお手本を見ると、必須事項を流れるように話し、60秒きっかりに終了。プラスワン・トピックも「猫が好きで、いろいろなアイテムを持っている」といった聞き手の印象に残るもので、「さすが!」と言うほかない。話す内容を事前に整理し、時間管理をしっかり行うことは、スムーズなコミュニケーションの第一歩だと改めて気づかされた。
西脇さんが教える「相手を動かすシナリオテクニック」の1つ目は、「黄金比3:7」。伝えることのメインテーマを決めたら、前半30%で課題を明示し、後半の70%で本題を語るのが理想だという。テクニックの2つ目の「サクセスストーリーとホラーストーリー」は、耳慣れない単語だが、「○○がないと、こんな大変なことになってしまいますよ」というホラーストーリーをまず披露し、「これを使えば解決します」というサクセスストーリーにつなげるというもの。実際のセールスの場面では、商品の良さを先にアピールしてしまいたくなるが、A(ホラー)→B(サクセス)の変化を伝えることが重要だと西脇さんが解説する。テクニックの3つ目は、「『最初』と『最後』のシンメトリック」。最初に出したキーワードや課題と対になるように最後を締めるように構成するというもの。確かに、このような流れがあると、課題が解決にきちんと結びつき、「腹落ち」感も大きい。
研修動画では、西脇さんの話のポイントをまとめたスライドも映し出されるため、学ぶべきことが私の頭の中にスムーズに入っていく。そして、西脇さんが伝えることのひとつひとつが説得力にあふれているので、多くの受講者の姿勢が研修に対して“前のめり”になっているように見えた。ファシリテーターの石丸さんも、「印象に残っているのは、『相手を動かすシナリオテクニック』のパートで、受講者の皆さんの表情が変わった瞬間です。画面越しにも、受講者の学びモードにスイッチが入ったのを感じました」と、研修後に振り返ってくれた。
研修動画の視聴後は、テクニックを実践するためのワークに移るプログラムだが、この日は時間の都合で行われなかった。実際のワークは受講者がペアになって、ある商品紹介を相手に行うもので、プレゼンテーション(商品紹介)の時間管理と、相手へのポジティブなフィードバックが大切になるそうだ。