「接続詞」の効果的な使い方が相手の心を動かす

 休憩をはさみ、研修のPart2「相手を動かすトークテクニック」へと進んだ。ここでは3本の研修動画を受講者全員が視聴する。

 1本目の研修動画では、「“手”・ “指”の動きは重要」「『短い文』と『接続詞』を大切にする」「さらなる『接続詞』の重要性」「与えられた時間や終了時間を最初に言う」の4つをポイントとして、西脇さんがトークのテクニックを伝授した。話すときに手や指を使うと相手の視線を集めることができるが、特にモノの大きさや位置・場所・順序、カウントを表現するときに指を使うと、効果が高まるという。その見本のように、身振り手振りを加えてトークを続けていく西脇さん。話の内容と手指の動きが無駄なくリンクしていて、私はどんどん引き込まれていった。

 さらに、「読み上げるのは朗読で、そこに接続詞を入れると会話になる」と、西脇さんが解説する。用意した台本をただ単に「読む」のではなく、文章を短く区切り、「そして」「また」などの接続詞を入れて会話のように話したほうが相手に響くという。接続詞を挟み込むことによって、相手が「なんだろう?」と気にする可能性が高くなるのだ。西脇さんからは、「緊張すると早口になってしまう人ほど、接続詞をはさんでトークに緩急をつけるといい」というアドバイスもあった。これは、オンラインでのコミュニケーションやプレゼンテーションに限らず、日常の会話でも使える技だと、私は思う。

「相手を動かすトークテクニック」の2本目の研修動画では、相手との距離を縮め、巻き込むためのテクニックが3つ紹介された。1つ目は「いわゆる“つかみ”(アイスブレイク)」。最初の5分、遅くとも10分で場を温めると距離がグッと縮まるという。そのためには、SNSなどを使って相手の情報を知っておくのが肝心だ。

「実は、“つかみ”より、もっと今にフィットするテクニックがあるんです」と西脇さんが続ける。その思わせぶりな言葉に、私は身を乗り出した。西脇さんの語るテクニックは、「“さぐり”の重要性」だった。たとえば、人がたくさんいる会場で「どこからいらしたのですか?」とさぐりを入れ、質問と回答のやりとりをすると、それだけで一気に会場の空気をつかむことができるという。オンラインではチャットでも同じことが可能だ。

 そして、私が最も「なるほど!」と唸った“相手との距離を縮め、巻き込むためのテクニック”は、「プレゼンテーションは“顧客視点”」というもの。「お金をお支払いします」と自分視点で言う場合と、「お金を受け取れます」と顧客視点で話す場合とでは、同じ内容でも印象がまったく違う。相手の立場や目線で話していくことが、その人の心を動かすのだ。