6月上旬、イーロン・マスクがテスラ、スペースXのスタッフに送ったとされるメールが話題になりました。多くのテック系企業がリモートとオフィスのハイブリッドな働き方を模索する中で、最低でも週40時間以上オフィスに来ない人には辞めてもらう、すなわち実質的にオフィスでの仕事を義務付けるという刺激的な内容です。イーロン・マスクのメールには、果たして合理性があるのでしょうか。テスラのビジネスの構造をひもときながら、解説します。(グロービスAI経営教育研究所 所長/グロービス経営大学院 教員 鈴木健一)
物議を醸したイーロン・マスクのメール
彼の主張は「合理的」といえるのか?
そもそも、イーロン・マスクは報道されている2本のメールで何を語ったのでしょうか。ここでは2本目のメールを見てみましょう。
テスラの社員は全員、週に最低40時間はオフィスで過ごすことが義務付けられています。しかも、そのオフィスは、遠隔地の疑似オフィスではなく、実際の同僚がいる場所でなければなりません。もし来なければ、あなたが辞めたとみなします。
上司であればあるほど、その存在は目に見えるものでなければならない。だから、私は工場に住み込んで、現場の人たちと一緒に働いている姿を見せました。そうしなければ、テスラはとっくに倒産していたでしょう。
もちろん、それが必要ない会社もありますが、最後に素晴らしい新製品を出荷したのはいつですか?かなり前ですよね。
テスラは、これまで地球上のどの企業よりもエキサイティングで意義深い製品を生み出し、実際に製造してきましたし、そしてこれからもすることでしょう。これは、電話で済ましていては実現できないことなのです。
ありがとうございました。
イーロン
(DeepLを利用して翻訳)
この報道に対する日本国内での反応はどうだったのでしょうか。予想通り(?)ですが、報道直後(6月2日~18日)の約470件のツイートについて感情分析を行うと、ネガティブな反応一色だったことが分かります。
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日本ではネガティブに捉えられたイーロン・マスクの主張ですが、テスラという企業を経営する上で「合理的な判断」といえるのでしょうか。今回は、「ものづくり企業」としてのテスラの特徴、従業員や就職希望者から見た魅力などを分析し、考察してみたいと思います。