「在宅勤務を絶対許さない」テスラのマスク氏vsツイッター社員に学ぶことPhoto:picture alliance/gettyimages

テスラのイーロン・マスクCEOが、実質的な「リモートワーク禁止令」を社内で通知したとして話題になっている。マスク氏に買収されようとしているツイッターの社員たちは、この騒動に緊張感を高めているという。両者の激突を題材に、論文の調査結果を踏まえて合理的な働き方について考えてみよう。(イトモス研究所所長 小倉健一)

最低でも週40時間はオフィスにいること
さもなくばテスラを辞めよ

 米電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、米ツイッターの買収において、偽アカウントの割合を巡る意見の対立から膠着状態になっている。今後のマスク氏の買収劇の行方は不確定要素が大きいが、マスク氏がツイッターを買収すると、世界で最も影響力のあるリーダーが使用するコミュニケーションメディアを掌握することになる。

 それは、世界で最も価値のある自動車メーカーと、米国の宇宙計画を活性化させたロケット製造会社の指揮を執ることに加えてのことだ。その全てが同時に進行している。

 そのマスク氏はテスラの従業員らに対し、「少なくとも週40時間オフィスにいなければ、テスラを辞めなければいけない」などと求めたという。テスラの社員によるTwitterへの投稿や米メディアの報道で明らかになっている。

 週40時間ということは、平日5日間で1日当たり平均8時間はオフィスにいなくてはならない計算になる。実質的な「リモートワーク禁止令」だ。

 リモートワークへの否定的な姿勢は、マスク氏が買収することで合意したツイッターでも、働き方を巡る議論を引き起こしているようだ。

 新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきた現状で今後、在宅勤務を続けようかどうか悩んでいる日本企業も多いはずだ。マスク氏が5月末にテスラの幹部に送ったとされる、リークされたメールの全文をまず紹介しよう。

 そして、リモートワークに関する論文の調査結果を踏まえて、どういう働き方が合理的なのかについて考えてみたい。