切り込まれそうな陸自の防衛予算
正面装備を優先し弾薬燃料は後回し
日本に限った話ではないのだが、防衛戦略の中心が陸から海・空へとシフトしているからだ。実際に、陸自が運用する戦車の不要論まで取り沙汰されている。
そんな折に到来したのが、今回の“予算大盤振る舞い”の防衛特需だ。予算の大きさこそ各自衛隊のパワーの源泉である。さながら「バブル予算争奪戦」の様相だ。
今回、陸自の防衛予算が切り込まれる公算が大きい。
従来、陸海空の自衛隊は予算を多く取りたいので、戦車、護衛艦、戦闘機など「正面装備」の拡充を優先してきた。以下は“高額装備品のお買い物リスト”(ある自衛官)と称される中期防衛力整備計画(2018年、中期防)の別表だ。
ところが、陸海空の自衛隊がこれらの高額な正面装備に予算を優先的に使い続けた結果、正面装備を稼働させるのに必要な弾薬や燃料の補充を後回しにするというあり得ない事態が発生している。正面装備を揃えても、その装備を動かせないという本末転倒に陥っているのだ。
陸海空による一体性のない予算要求がまかり通ってきたのは、防衛省の内局、いわゆる”背広組”が自衛隊を統治しきれていないことがある。さらに陸海空の経営資源を適切に分配する役割を担う「統合幕僚監部」でも、統合運用は機能不全に陥っている。
やみくもに予算を増やしたとことで、日本の防衛力強化になどつながるはずもない。陸海空の変わらぬ予算シェア、正面装備ありきの予算要求といった悪弊にメスを入れられなければ、巨額の税金をドブに捨てるようなものだ。