OMMJAPANでは毎年、イベントレポートを作成してレースの総括を参加者と運営が共有できるようにしている。タフなレースを経験することによって、運営も参加者も学びが得られるからだ。

「冒険とは生きて無事に帰ること」人々を虜にする過酷な山岳レースの魅力

「昨年度は1200人が参加したのですが、1日目での骨折、捻挫などの怪我人が出たことや、フィニッシュクローズ時刻を超えてもまだ約30チームが帰還できていませんでした。結局、山中でビバーグを余儀なくされるチームもあり、近年では最も厳しい状況に。

 我々は、より厳しい自然環境やコース設定を検討する一方で、運営としてのリスクマネジメントも行っています。コースプランを担当するチームと安全管理チームとの2チーム体制です。コースプランナーやディレクターは、よりチャレンジングなコースを作ることがミッションですが、安全管理チームでは、開催地やコースプランを客観的に見て安全性を判断。安全管理チームの了承なしでレースの開催はありません」

無事に生きて帰る
人間力が問われるOMMの魅力

「冒険とは生きて無事に帰ること」人々を虜にする過酷な山岳レースの魅力

 冒頭の「より良い環境」とは、挑戦し続けられるロケーションという意味だ。OMM JAPAN運営側でアンダーコントロールがなされているが、基本的に参加者はオウンリスクを理解しないといけない。「6年目あたりから、参加者のリスク意識がかなり上がってきた」と小峯さんは分析する。冒険とは生きて無事に帰ってくること。冒険の大前提が浸透しつつある。

 こういった価値は、登山やトレイルランニングでも得られるだろうが、バディと組むレースである分、自分自身と対話するシーンが増える。理解、判断、実施からくる結果は、ポジティブなものか、ネガティブなものか、人間力が問われるのもOMMの魅力なのである。