川崎フロンターレはなぜ常勝軍団になれたのか?チームを変えた「評価革命」サッカーJリーグの川崎フロンターレを常勝軍団にした「良い影響の連鎖」とは

運動と脳やメンタルとの関係を解き明かし、発達段階の子どもから、働き盛りの大人まで、より良い人生を送るための運動の効用について紹介する本企画。伴 元裕氏(NPO法人Compassion代表理事)は、7年間の商社生活を経て、デンバー大学大学院でスポーツ心理学を学び、現在、中央大学でスポーツ心理学の研究を続けながら、プロアスリートやビジネスリーダーに対して、最先端のメンタルトレーニングを提供している。サッカーJリーグの常勝軍団、川崎フロンターレの事例を基に、伴氏がリーダーシップの本質について教えてくれた。(取材・文・撮影/編集者・メディアプロデューサー 上沼祐樹)

川崎が変わるきっかけとなった
チームへの貢献行動の明確化

「信頼とは、自身がチームのために行った行動が認められることによって醸成されていきます。チームメンバー同士が信頼し合い、好感を持てていると、チームのための行動が増えるんです。選手同士の信頼が高いと、組織への貢献が増え、チームのパフォーマンスが向上する仕組みですね。川崎フロンターレにもこの連鎖があったかと思います」

 5年間で4度の優勝、うち2度の連覇を達成したJリーグの常勝チームが川崎フロンターレだ。2017年の初優勝を皮切りに、国内で結果を残し続けている。その中軸を担ったのが中村憲剛氏だが、2020年度に引退。それでも勝ち続けるチームとしてのDNAは継承されている。シルバーコレクターと呼ばれることが多かった川崎フロンターレ。初優勝前までは、あと一歩のところで結果が出ないというチームであった。

 では、2017年に何が変わったのか。伴氏が中村氏と対談したときのことを教えてくれた。