限界を試すアドベンチャーレース「OMM JAPAN」で見えてくる人間力大自然を活用しオウンリスクを意識しながら挑むアドベンチャーレース「OMM JAPAN」の魅力とは

冒険とは、生きて帰ることである――。こう話したのは、冒険家の植村直己さん。世界最高峰のエベレストに日本人として初登頂(1970年)、犬ぞり単独行として世界初の北極点到達(1978年)など、数々の記録を樹立。しかしながら、冬期マッキンリーに世界初となる単独登頂をした後の下山時に、消息不明となった(1984年)。ビジネスの領域で新たな価値を創造するために、あえて自然の中に身を置き、新たな気づきを得ようとする人もいる。しかし自然は、雄大になればなるほど、人間にはコントロールしにくいものである。今回は、日本の大自然を活用し、オウンリスクを意識しながら挑むアドベンチャーレース「OMM JAPAN」のイベントディレクター・小峯秀行氏(株式会社ノマディクス取締役)に、オウンリスクとチームワークについて話を聞いた。登山ともトレイルランニングとも違う魅力が「OMM JAPAN」にはあった。(取材・文・撮影/編集者・メディアプロデューサー 上沼祐樹)

起源は英国
限界に挑戦する「OMM JAPAN」

 アドベンチャーレースとして認知される「OMM JAPAN」だが、そもそもは、イギリスで開催された草レースだった。同国では、その当時から、地図上にチェックポイントを記し、訪れるルートは自由というロゲイニングレースが開催されていた。

限界を試すアドベンチャーレース「OMM JAPAN」で見えてくる人間力「OMM JAPAN」イベントディレクターの小峯秀行氏

 そんなレースとマウンテニアリング組み合わせて始まったのが、OMM。初開催は1968年、Karrimor主催の「Karrimor International Mountain Marathon」であった。山の中を走る走力は言わずもがな。地図を読み込むナビゲーション能力が必要とされ、選手はレース期間(主に2日間)に必要な食料やギアをリュックに背負い、野営を駆使しながらゴールを目指すのだ。

「英国の中部にはレイクディストリクトなど、広大な丘陵地帯があるんです。そのため、英国では山岳レースが盛ん。また、地形だけでなく英国の“挑戦する文化”も、その背景にありますね。体力的・天候的にも様々な面で厳しい自然環境に自らの身を置きます。自分たちの安全スキルや体力を駆使し、山における自分の行動力や判断力をテストする。そんな場として、英国で生まれたんです」