新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、保育園・幼稚園の休園、小学校の休校などが相次いだ。子を持つビジネスパーソンのなかには、我が子の預け先が見つけられず仕事を休まざるを得なかったり、在宅勤務でも子どもの相手をしていて集中できなかったりと、支障が出ている人もいる。そんな状況で注目を集めたのが“ベビーシッター”だ。コロナ禍の今、彼らの元へ寄せられる依頼とは。(清談社 鶉野珠子)
コロナの感染拡大で
新規利用者が増加
ベビーシッターサービスを提供する株式会社明日香が2021年2月に実施した「ベビーシッターサービスの利用による家庭の変化の調査」によると、現在ベビーシッターを利用している家庭のうち、90.3%はコロナウイルスの感染拡大を機に利用を始めたと回答している。
コロナ禍でベビーシッターの需要が拡大するなか、2020年に保育園を退職し、ベビーシッターの道を歩み始めたのが、さいおなお氏。実はさいお氏は漫画家とシッターの二足のわらじを履いており、今年6月にはベビーシッターエッセイコミック『3時間だけママを代わります!』(オーバーラップ)を上梓している。
「保育園に勤務していたときは行事ごとの準備が膨大で、子どもと接する時間を削って作業をしていました。『もっと子ども一人ひとりと向き合いたい』という思いから、2020年にベビーシッターに転職したのです。園での保育においては、子どもたちがけがをしないように細心の注意を払っていました。集団生活なので、目を離した隙にけんかが起きてけがをするなんてケースも珍しくないですからね。今もけがについては当然注意していますが、コロナ禍ではこれまで意識していなかったような点に気を配る必要が生じていて、驚いています」(さいお氏、以下同)
家に上がる際の手洗いうがい、消毒なども、これまで以上に念入りに行うようになった。それに加えてさいお氏がコロナ禍の今、特に気をつけているのが“マスク”に関する問題だという。
「あるお子さんは、マスクを着けているときは何もなかったのですが、私が水分補給のためにマスクを外して素顔を見せた瞬間に号泣してしまいました。お子さんをパニックにさせない対策として、感染症対策には十分気をつけつつ、訪問したら早い段階でマスクを着けている顔と素顔の両方を見てもらうように心がけています」