新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、体温を測ることが習慣になった人もいるのではないか。体温は人間にとって、重要なバイタルサイン。日々の体調変化はもちろん、重大な異変を教えてくれることもある。女性は基礎体温を付けている人が少なくないが、実は男性にとっても体温の変化は重要だ。書籍『シリコンバレー式 超ライフハック』(デイヴ・アスププリー著、ダイヤモンド社)などを参考に、体温の変化や運動による体温上昇の知識を解説する。(文/フリーライター 鈴木 舞)
コロナ禍で体温測定が習慣化
体温の上昇でわかる体の異変とは
人間は恒温動物であり、体温はある程度一定に保たれている。体温とは体の深部であるコアの温度を指し、肌の表面温度とは異なる。体温は様々な要因によって1日のうちでも微妙に上下している。一般的に活動量が多い日中は体温は高めで、夜になるにつれて体温は低下し、体は入眠の状態へと向かっていく。こうした生活リズムによる体温の上昇・低下は問題ではない。
一方で、体温の変化は体の異変を教えてくれるサインでもある。アメリカ型の食生活に警鐘を鳴らす循環器専門医のウィリアム・デイビス博士は、自己診察のメリットについてこう述べている。
「病気について自分で調べて自分で努力する患者は、情報や治療を医師任せにしている患者よりも良好な治療結果に至ることが多いという。自分のデータを追跡するとき、特定の食品やサプリが血圧や炎症に及ぼす影響など、本人にしかできない観察ができるからだ。それを続けていると、身体に搭載されたセンサーが鋭くなって、わずかな異常値も感知できるようになり、そのデータを治療に活かせるようになる。デイビス博士のお勧めのシンプルな自己診察は、朝いちばんに体温を測ることだ」(『シリコンバレー式 超ライフハック』より)
体温測定は気軽にできる自己診察であり、体調維持に役立つというわけだ。たとえば体温が高くなった場合は、体に次のような異変が起きているのかもしれない(参考:『ヒトにおける体温の意味と意義』 永島計、中村真由美著、人間科学研究第25巻第1号,2012)。
・感染症による症状として、発熱することがある
・がんや膠原病、肺塞栓症など疾患の症状で、発熱することがある
・先天性の疾患により、体温調節異常が起きていることがある
・薬剤の誤った用法により、発熱することがある
・熱中症を発症していると、体温が高くなる
・脱水症状を発症していると、体温が高くなる
・アルコール摂取により、体温が高くなることがある