人生100年時代を迎えた日本だが、健康面の不安は小さくない。日本人の2人に1人はがんと診断され、がんで命を落とす人も多い。健康寿命やQOL向上の観点からすると、がん予防は重要な取り組みなのだ。書籍『ハーバード医学教授が教える 健康の正解』(サンジブ・チョプラ著、ダイヤモンド社)によると、男女ともにがん予防には運動が効果的だという。がんを予防する運動にはどんな特徴があるのか探っていこう。(文/フリーライター 鈴木 舞)
なんと2人に1人
日本人のがん罹患の実情
国立がん研究センターが発表している統計によると、2020年にがんで死亡した人は37万8385人。そのうち男性は22万989人、女性は15万7396人と報告されている。
日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性が65.0%(2人に1人)、女性が50.2%(2人に1人)。男性のがん罹患数の上位を占めるのは、前立腺、胃、大腸、肺、肝臓のがん。女性の場合は、乳房、大腸、肺、胃、子宮のがん罹患数が多い。
さらに死亡率となると、男女ともに肺や大腸、すい臓、胃のがんによる死亡数が高い結果となった。(国立がん研究センター「最新がん統計 」より)
がんの要因としては、喫煙や飲酒、塩分摂取といった生活習慣などが考えられる。特定のウイルスに感染したことによって引き起こされるがんもある。さらに、運動不足もがん発症に関係しているのをご存知だろうか。
複数の研究報告によって、運動不足はがんの発症に関係していることが指摘されている。
書籍『ハーバード医学教授が教える 健康の正解』でも、がんと運動に関する信頼性の高い研究を紹介。同書によると、アメリカがん研究所(NCI)の研究者が次の研究結果を報告している。
「身体活動と、全死因死亡率、乳がん死亡率、結腸がん死亡率の減少との関連性を示す一貫したエビデンスが、27件の観察研究から得られた」(『ハーバード医学教授が教える 健康の正解』)