命を脅かす恐れもある肝臓の異変「脂肪肝」。「脂肪肝はアルコール性の病気だからお酒を飲まなければ大丈夫」と思っている人は要注意。非アルコール性の脂肪肝「NAFLD」を発症することもあり、悪くすると肝臓がんに進行する悪性の脂肪肝炎「NASH」に進行する可能性もあるのだ。書籍『ハーバード医学教授が教える健康の正解』(サンジブ・チョプラ著、ダイヤモンド社)を参考に、肝臓の健康を保つヒントを探っていく。(文/フリーライター 鈴木 舞)
気づかぬうちに忍び寄る
肝臓疾患「NAFLD」「NASH」のリスク
脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が溜まる疾患だ。脂肪肝を発症した肝臓はフォアグラに例えられることもある。脂肪肝の原因は主に、過剰なアルコール摂取だと考えられていた。近年は飲みニュケーションが敬遠されるようになってきたことや、会食自粛の影響もあり、酒量が減ったビジネスパーソンも多いはず。
ところが脂肪肝には、非アルコール性の脂肪肝「NAFLD(ナッフルディー)」がある。さらにNAFLDが進行し、非アルコール性脂肪肝炎であるNASH(nonalcoholic steatohepatitis:ナッシュ)を発症する人が増えつつあるという。
書籍『ハーバード医学教授が教える健康の正解』の著者でもありハーバードメディカルスクール教授でもあるサンジブ・チョプラ氏は、非アルコール性の肝臓疾患についてこう指摘している。
「私は肝臓専門医として講義をするとき、いまやアメリカでは非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)が最も一般的な肝疾患なのだと説明している。肥満と2型糖尿病の増加が明らかに影響を及ぼしているこの疾患をもつ人は、アメリカには約4000万人いると推定される。NAFLD患者は15~20%の確率で肝硬変になり、合併症を発症すれば肝移植が必要になることもある」(『ハーバード医学教授が教える健康の正解』より)
NAFLDとは、アルコールを除く原因が引き起こす脂肪肝の総称である。肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧を患う人は注意が必要だ。メタボリックシンドロームに該当する人もNAFLDの発症リスクが高い。そしてNAFLDが少しずつ悪化すると、NASHに至ることがある。