【必読ポイント!】
◆酒と免疫力
◇度数の高いお酒は「免疫力」を下げる?

(帝京大学特任教授・安部良氏)

 アルコールは人の免疫に悪影響を及ぼす。

 人間には免疫が備わっており、新型コロナウイルスなど病原体の体内への侵入を防ぐ役割をする。また侵入されても撃退することができる。この免疫の防御システムには次の3段階がある。

(1)自然バリア――皮膚や、鼻・のど・気道などにある粘膜、そこにある殺菌物質、汗、涙が病原体の侵入を防ぐ

(2)自然免疫――侵入した病原体を食細胞「マクロファージ」が食べたり、殺菌物質を用いたりして排除する

(3)獲得免疫――排除できなかった病原体を、主にリンパ球が抗体などを用いて撃退する

 アルコールはこの3段階のいずれにも直接的な影響を与える。人の免疫にとってお酒は好ましくないものである。

 例えば、ウォッカなどアルコール度数の高いお酒を飲むと、のどの粘膜にある自然バリアを壊してしまう。またアルコールは食細胞「マクロファージ」にもダメージを与える。アルコールがマクロファージに直接的に影響し、機能低下などにつながる。特に、長時間飲むほどその影響は大きくなる。

◇飲酒と免疫機能低下の仕組み

(前項の安部氏)

 免疫の防御反応の第3段階である獲得免疫(適応免疫)においては、主に3つの細胞が活躍する。スパイの役割である「樹状細胞」、司令官である「T細胞」、攻撃ミサイルである「B細胞」だ。

 まず自然免疫として働く「樹状細胞」が病原体の情報をキャッチし、それをリンパ球の一種である「T細胞」に伝える。情報を受け取った「T細胞」はその病原体に適した攻撃をするように、さまざまな細胞に指令を出す。指令を受けた細胞のうち、優秀な「B細胞」が、病原体を攻撃する抗体を作り出す。