高校サッカーにおいて、早めに相手コートにボールを蹴り込んで、フィジカル力を活かして相手のミスを誘いゴールを奪う手法は、トーナメント戦では有効な手段ですが、我々はそれをやりません。興国高校では、ボトムアップとトップダウンの両方を取り入れています。

 また戦術的には、ゴールキーパーを含めてパスを回しながら攻撃を組み立てます。最後尾から最前線までが、意思決定と創造性を持ちながら、目の前の敵をかい潜っていくんです。当然、適切なコミュニケーションと協調性を持って挑まないと、得点を奪うことができません。主体性を持ってサッカーに携わるという点においては、この3年間で学べるのではないでしょうか。

ライフスキルと
興國サッカーとの親和性

なぜラグビー経験者は社会で活躍できるのか?サッカー教育にも必要なライフスキル向上

 WHO(世界保健機関)は、人が日常生活の中で生じる様々な問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な心理社会的能力を、「ライフスキル」として定義しています。やや抽象度が高いですが、それは具体的に、意志決定、問題解決、創造的思考、批判的思考、効果的コミュニケーション、対人関係スキル、自己認識、共感性、情動への対処、ストレスへの対処という10の能力であると説明されています。

 私はサッカーを通じて、選手たちがこうしたライフスキルを高めてくれるよう意識しながら指導しています。突き詰めようとすると、色々な壁にぶつかりますし、それを乗り越えないと次の壁が見えない。トップチームで試合に出ている選手ほど、ライフスキルを高める機会が多いのではないでしょうか。