ここ数年成長を支えてきた新ジャンル、ノンアルコールビールが相次ぎ失速。キリンの2013年販売計画は異例の前年比マイナス(写真は磯崎社長)
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 2012年の国内酒類販売の状況を示す課税出荷数量統計がまとまった。

 ビール、発泡酒、新ジャンルを合わせた、いわゆる「ビール類」の販売では、1位のアサヒビールが前年比2%減の208万キロリットル、シェア37.5%。以下、2位のキリンビールが2.7%減の197万キロリットル、シェア35.6%。3位のサントリー酒類が5.3%増の79万キロリットル、シェア14.2%、4位のサッポロビールが0.6%増の66万キロリットル、シェア11.8%となった。

 1位と2位が販売量とシェアを共に落とし、下位が伸ばす結果となった。

 ビール類市場全体では、縮小の激しさが目に付く。販売総計は前年比1%減の555万キロリットルで、東日本大震災の影響で前年比3.7%減少した2011年より減少幅は緩やかになったが、その数量を下回ったのだ。原因はどこにあるのか。

 まず、これまでビール類で唯一の成長部門だった新ジャンルの成長がほぼ止まった。新ジャンルが市場に出た2003年以降、震災前までは2桁に近い前年比成長率を保っていたが、2012年の市場規模は前年比わずか1.1%増。最低の伸び率だ。

 アルコールだけではない。2009年「キリンフリー」発売以来、伸び続けてきたノンアルコールビール市場の成長も、今年は減速見通しだ。2012年は前年比40%もの伸びを示したが、大手4社による今年の市場予測は、いずれも1桁台の成長にとどまる。

 アサヒのノンアルコールビールの発売により4社のノンアルコールビール商品が出そろった2012年は、有望とみられた市場がわずか3年で成長の天井を打った年であったことになる。

 厳しい落ち込みの中、キリンは2013年のビール類の販売計画を前年比マイナス1%と設定した。