半導体株の投資家は今年、苦い思いばかりさせられている。だが韓国の半導体大手サムスン電子は、苦難の先に目を向けている。ファウンドリー(受託生産)事業に積極的に資金を投じていることや、半導体事業が政治問題化しつつあることは、いずれ同社にとって追い風になるだろう。市場の混乱は半導体セクターでとりわけ顕著で、サムスンも例外ではない。同社の株価は2021年前半以降で約40%下落し、時価総額は3000億ドル(約43兆4000億円)近く吹き飛んだ。稼ぎ頭であるメモリーチップの需要が減少し、在庫が積み上がっていることは、同社にとって目下の頭痛の種だ。市場調査会社トレンドフォースは、ストレージに使われるNAND型フラッシュメモリーの価格が10-12月期に15~20%下がると試算。7-9月期には13~18%下落している。アナリストは、サムスンの営業利益がこの2四半期に前年同期比20%以上減少すると予想している(S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス調べ)。