制度改正によってさらに利用しやすくなるiDeCoとNISAだが、今から始める場合、会社員はどうすべきなのか。手を出せないでいる人のために、FPでありYouTuberとしても活躍、今年6月に『図解 会社員のためのお金のキホン』(KADOKAWA)を上梓した井上ヨウスケ氏に話を聞いた。

「たとえば夫婦共働きの会社員であれば、年金額が極端に少ないというわけではないので、投資は毎月無理のない範囲で大丈夫。基本的に僕がオススメしているのはインデックス投資で、長くコツコツ続けていくものです。特に会社員は収入が安定しているので毎月3.3万円をつみたてNISAに入れるだけで、老後のお金は足りると思っています。もちろんそれぞれの目標額に足りなさそうであれば、プラス2万円ぐらいの幅で投資額を増やすのも良いですね」

 つみたてNISAを井上氏がすすめる理由は、初心者にもやさしい制度設計にある。

「つみたてNISAは少額でコツコツ積み立てる投資に特化した制度です。大きなメリットは非課税で運用できること。通常、運用で得た利益には20.315%の税金がかかるため、仮に100万円利益が出れば約20万円の税金を払うことになりますが、つみたてNISAなら100万円が丸ごと手元に残る。さらにつみたてNISAで買える投資信託は金融庁の定めた厳しい基準をクリアしたもので、コストの上限が決まっているため、初心者も始めやすいと思います」

 つみたてNISAでは、少額から設定できて投資スキルやセンスも必要ないというインデックス投資を始めるのがオススメだという。

「銀行の積立貯蓄のように毎月決めた金額でインデックスファンドを購入し、ひたすら積み立て続けます。ただしひとつだけ頑張らなくてはいけないのが、最低20年間は続けてほしいということ。というのも20年運用すれば勝率がかなり上がることが過去のデータでわかっているんです。相場は上がったり下がったりを繰り返すため、資産が5年後に増えているかどうか実際のところは誰にもわかりません。しかし米国のペンシルベニア大学経営大学院の教授で過去200年にもわたる投資データを研究してきたジェレミー・シーゲル氏によると、例外はあるものの、20年運用すればどの時代でも資産はほぼプラスになることがわかっているのです」

 つみたてNISAの非課税期間は20年。つまり、つみたてNISAの非課税期間にインデックス投資を続ければピッタリなわけだ。