◇他人に荷物を手渡すワーク

 著者がグループセッションでよく行うのは、実際に荷物を持って実施するワークだ。協力してくれる人と一緒に体験してみるといいだろう。

 参加者の荷物を一箇所に集め、ワークの主体となる人がすべてを持ち、ずっしりとした重さを体験する。その後、荷物の持ち主の名前を呼び、「これを持ってください」と一人ずつ荷物を手渡していく。指名して荷物を渡すことを繰り返し、最後は何も抱えていない身軽な自分を体験する。

 助けてもらって重荷がとれたときの感覚をインプットすることができれば、こわばった心をほぐすことができる。

◆どんな人でも頼り上手になれる
◇「頼れない」のはあなたの性格のせいじゃない

 いくら気持ちを軽くしたところで、仕事が山積みのままではいずれまたすぐに問題を抱え込んでしまう。頼ったり相談したりすることができれば、抱え込みを解消できる。人に頼ることは、コミュニケーションスキルの一種だ。どんな性格・個性の人でも、慣れれば自然と頼ることができるようになる。

 人には得手不得手があって当たり前なのだから、自分にできないことは素直に認め、得意な人に頼ってしまおう。あなたは自分の得意なことで人を助ければいいのだ。こうした発想が社会でうまくやっていく心得であり、人としての成熟だといえるだろう。

 頼ることは、個性の異なる人間同士が協力して物事を進めるために必要なスキルだ。頼ることは自分をラクにするだけでなく、手伝ってくれた人の能力を認め、その人の自己肯定感を高めることにもつながる。他力本願くらいでちょうどいいのだ。

◇出さない手紙を書くワーク

 著者はよく、相談者に「相手の人に、出さない手紙を書いてください」とお願いする。自分の気持ちを正直に打ち明けたり相談したりすることが苦手な人でも、「手紙」という形であれば気持ちを吐き出すことができる。しかし、相手を意識しすぎては本当に言いたいことを書けなくなってしまう。だから、「出さない」ことを前提に手紙を書くのだ。

 パートナーに対して「家事分担をしてほしい」、上司に「仕事が多すぎて困っている」など、言いたくても言えないことや、本当は相談したいことを書いてみよう。書いた後は燃やしたり破って捨てたり、処分してしまう。

 出さない手紙を書くことで、誰かに気持ちを打ち明けるという意識を芽生えさせることが目的だ。自分の中にだけ渦巻いていた気持ちが、外へ向いていくようになるだろう。