不安や悩みが尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、増刷を重ねて好評多々の感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の8つのショートストーリーは、ふと心が落ち込んだとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
人づき合いの“間違いのもと”
アナタには信用できる人はいますか?「絶対的に信用できる人がいる」なんて言う人がたまにいらっしゃいますが、絶対的ということはないですよね。そういう人は、まず最初に話したり、やり取りをしたりした時点で、「この人は信用できるかどうか」という判断をしがちです。
そして、「この人は信用できる」っていうふうに判断しちゃうと、それ以降、そういう存在としてつき合おうとするんですね。これが間違いのもとなんです。それはあくまで“最初の感覚”にすぎないからです。
「最初の段階では問題がない」くらいの意味合いしかないわけで、その後のつき合いにおいて、お互いの信頼感っていうのは、強まったり弱まったりするものです。最初は信用できる人でも、いずれ信用できなくなる場面も訪れる。それは相手が悪いとか、信用できる人がいないとか、そういうことではありません。
「信用できる」ではなく「信用できる関係になっていきたい」
信用できるかどうかは、あくまで相対的なこと。アナタ自身も信用できるかどうかを相手に計られながら、おつき合いしているようなものです。アナタ自身の信用度が低くなってきたら、相手も信用のある行動をとってくれなくなるわけです。
そういう感じで、人間関係というのは水物。状況に左右されやすく、予想が立てにくいものなんですね。最初に「この人は信用できる人だから、裏切らない。絶対大丈夫だ」なんて漠然と思い込んでしまうと、あとあと苦しいことになりかねません。そういう意味では、誰も信用してはいけないともいえるんですね。
じゃあ、どうすればいいかっていうと、「この人は信用できる」と決めつけるのではなく、“この人を信用しようと決める”という感じで、ある種の努力をともないながら、人づき合いしていくのがいいでしょう。「この人と信用できる関係になっていきたい」という考え方です。
他人に甘えると“歪み”が生じる
「アナタを信用しているから」という言い方は、“甘えの構造”でもあります。人間関係に歪みが生じる要素が出てきてしまうんですね。
人間関係は水物ですから、絶対はありません。なにが起きるかわからないというのが前提になりますが、「この人を信用するぞ」と思って、自分が主体的に行動を決めていくという緊張感が、とても大切なんですね。
本稿は『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。