レゴが倒産寸前になって「激減させたもの」とは?V字回復の裏に戦略ありPhoto:PIXTA

今年創業90周年を迎えるデンマークのレゴ社は、いまや世界最大の玩具メーカーに成長しました。実は同社は2000年代初頭には倒産寸前という経営危機を経験しています。なぜ、倒産寸前の瀕死状態から玩具業界のトップ企業までV字回復できたのでしょうか。その秘密を解説します。(グロービスAI経営教育研究所 所長/グロービス経営大学院 教員 鈴木健一)

倒産の瀬戸際から
玩具業界のトップ企業へ

 みなさんは小さいころにレゴブロックで遊んだことや、知り合いのお子さんへのプレゼントにレゴブロックを買ってあげたことはありませんか。

 レゴはデンマークでオーレ・キアクによって1932年に創業され、今年で創業90周年を迎えるグローバルトップ企業です。レゴ社の株は公開されておらず、創業一族が保有する非公開企業です。

 レゴという名前は、デンマーク語での「leg godt(よく遊べ)」から来ています。レゴブロックがたった6個の組み合わせで作れる形の数は、約9億パターンといわれています。シンプルなブロックで創れる世界の奥深さを感じさせます。

 そんなレゴですが、約20年前にあわや倒産、身売り寸前まで追い込まれるという未曽有の経営危機を経験しているのです。

 当時の危機は深刻で、米国の大手玩具メーカー・マテル社に買収話を持ちかけたり、また、資金繰りに困り、虎の子のテーマパーク、レゴランドも米国の投資会社ブラックストーングループに70%の持ち株を売却せざるを得ず、まさに土俵際まで追い詰められたのです。

 ここでは、なぜレゴ社が2000年代初頭に危機を迎えることになったのか、そしてどのように危機を乗り越えたのか、その一端を追いたいと思います。